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(アイロンをかけたテーブルクロス)テーブルクロスは見事に蘇っていた。どうしようもなく全体を覆っていた皺が一本残らず消え、レース模様の一目一目が浮かび上がり、冴えないただの食卓を、気品高いテーブルに変身させていた。
小川洋子「博士の愛した数式 (新潮文庫)」に収録 ページ位置:93% 作品を確認(amazon)
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テーブルクロス
アイロン
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前後の文章を含んだ引用
......は遠くないし、まだ日は暮れきってはいない。何も問題はない。私はケーキの箱を閉じ、ひとまず冷蔵庫に戻した。博士と私は食卓に腰掛け、ルートが帰ってくるのを待った。 テーブルクロスは見事に蘇っていた。どうしようもなく全体を覆っていた皺が一本残らず消え、レース模様の一目一目が浮かび上がり、冴えないただの食卓を、気品高いテーブルに変身させていた。ヨーグルトの瓶に飾ってあるのは、中庭で摘んだ名前も分からない野草だったが、彩りを添える役割は十分に果たしていた。お行儀よく並んだ三人分のナイフとフォークとスプー......
単語の意味
冴えない(さえない)
レース
冴える・冱える(さえる)
気品(きひん)
冴えない・・・パッとしない。なんとなく物足りない。面白味に欠ける。
レース・・・1.透かし模様のある薄い布。薄かったり小さな隙間が多かったりして向こう側が見えるつくりの布。「レースのカーテン」
2.競い合うスポーツ競技。ゴールを目指して争うこと。
2.競い合うスポーツ競技。ゴールを目指して争うこと。
気品・・・庶民とは違ったワンランク上の上品な雰囲気。
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アイロンの表現・描写・類語(道具・家具のカテゴリ)の一覧 ランダム5
(テーブルクロスにアイロンをかける)テーブルクロスを広げ、数学者にふさわしくそれを目分量で十六等分し、一つ一つのブロックを順々に片付けていった。 まず霧吹きの水を二度噴射させ、熱すぎないか手をかざして確認し、一番めのブロックにアイロンを押し当てる。把手をぎゅっと握り、生地を傷めないよう慎重に、しかしあるリズムを持ってアイロンを滑らせてゆく。眉間に力を込め、小鼻をふくらませ、自分の思い通りに皺がのびているかどうか、凝視している。そこには丁寧さがあり、確信があり、愛さえもがある。アイロンは理にかなった動きをする。最小の動きで最大の効果が得られる角度とスピードが保たれている。博士のテーマである優美な証明が、その古びたアイロン台の上に実現している。
小川洋子「博士の愛した数式 (新潮文庫)」に収録 amazon
僕はスチーム・アイロンの蒸気音とコットンが熱せられる独得の匂いを楽しみながら、三枚のシャツにアイロンをかけ、しわのないことを確認してからタンスにハンガーで吊した。
村上春樹 / ねじまき鳥と火曜日の女たち「パン屋再襲撃 (文春文庫)」に収録 amazon
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煙草の火はだんだん吸口の方へ逼 って、一寸 ばかり燃え尽した灰の棒がぱたりと毛布の上に落つるのも構わず主人は一生懸命に煙草から立ち上 る煙の行末を見詰めている。その煙りは春風に浮きつ沈みつ、流れる輪を幾重 にも描いて、紫深き細君の洗髪 の根本へ吹き寄せつつある。
夏目漱石 / 吾輩は猫である
ふかふかの絨毯に体が沈むようなソファー。王侯貴族になったような気分です。
野崎 幸助「紀州のドン・ファン 美女4000人に30億円を貢いだ男 (講談社+α文庫)」に収録 amazon
馬鹿に煙草を吸うひとだ。
林芙美子 / 新版 放浪記
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