武内は、玉突き場の蛍光灯に照らされ、前転し、後転し、斜めにひねられ、直線とかすかな弧を交互に描きながら、硬い音をたててぶつかり合っている赤と白の玉を見やった。それはもはや丸い 象牙 の玩具ではなく、細長い棒から突き出される邪悪なエネルギーにもてあそばれて、目に 沁みるばかりに鮮やかな緑色の小宇宙を 輾転 する、小さな切ない生命体であった。
宮本 輝「道頓堀川(新潮文庫)」に収録 ページ位置:94% 作品を確認(amazon)
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前後の文章を含んだ引用
......たとえ本人がどんなに拒んでも、邦彦を自分のところに引き留めておこうとも考えていた。赤の他人の邦彦に対しても、いま武内は自分の息子のような愛情を感じるのだった。 武内は、玉突き場の蛍光灯に照らされ、前転し、後転し、斜めにひねられ、直線とかすかな弧を交互に描きながら、硬い音をたててぶつかり合っている赤と白の玉を見やった。それはもはや丸い象牙の玩具ではなく、細長い棒から突き出される邪悪なエネルギーにもてあそばれて、目に沁みるばかりに鮮やかな緑色の小宇宙を輾転する、小さな切ない生命体であった。......
単語の意味
切ない(せつない)
蛍光(けいこう)
切ない・・・悲しさや寂しさや恋しさで、胸がしめつけられる気持ちのこと。やりきれない思い。やるせない思い。
蛍光・・・1.蛍の光。ほたる火。
2.(物理学)ルミネセンスの一種。ある物体に光やエックス線を当てたとき、その物体が別の光を出す現象。また、その光。
2.(物理学)ルミネセンスの一種。ある物体に光やエックス線を当てたとき、その物体が別の光を出す現象。また、その光。
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精気のない白玉の動きだったが、それは邦彦の息をふっと一瞬とめてしまうほど微妙に、薄く薄く赤玉をかすめていく
宮本 輝「道頓堀川(新潮文庫)」に収録 amazon
武内は、玉突き場の蛍光灯に照らされ、前転し、後転し、斜めにひねられ、直線とかすかな弧を交互に描きながら、硬い音をたててぶつかり合っている赤と白の玉を見やった。それはもはや丸い 象牙 の玩具ではなく、細長い棒から突き出される邪悪なエネルギーにもてあそばれて、目に 沁みるばかりに鮮やかな緑色の小宇宙を 輾転 する、小さな切ない生命体であった。
宮本 輝「道頓堀川(新潮文庫)」に収録 amazon
玉を出し、軽く突いてみた。キューを伝わって、懐かしい弾力が肩のつけ根まで響いてきた
宮本輝 / 道頓堀川 amazon
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浮(うき)がなくって釣りをするのは寒暖計なしで熱度をはかるようなものだ。
夏目 漱石 / 坊っちゃん amazon
(馬で走る)まっしぐらに汗馬 を跳 らせていた
芥川龍之介 / 偸盗
矢音のぶうんという音さえ、蜜蜂の羽音のようにものうい。
福永 武彦 / 草の花 amazon
フリッパーの二本の腕がそれ(ボール)を投げ返した
村上 春樹「1973年のピンボール (講談社文庫)」に収録 amazon
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