机の前には薄っぺらなメリンスの座布団 があって、煙草 の火で焼けた穴が三つほどかたまってる。中から見える綿は薄黒い。
夏目漱石 / 吾輩は猫である ページ位置:67% 作品を確認(青空文庫)
この表現が分類されたカテゴリ
座布団
しおりに登録する
前後の文章を含んだ引用
......いのが欠点である。吾輩はかつて主人がこの机の上へ昼寝をして寝返りをする拍子 に椽側へ転げ落ちたのを見た事がある。それ以来この机は決して寝台に転用されないようである。 机の前には薄っぺらなメリンスの座布団 があって、煙草 の火で焼けた穴が三つほどかたまってる。中から見える綿は薄黒い。この座布団の上に後 ろ向きにかしこまっているのが主人である。鼠色によごれた兵児帯 をこま結びにむすんだ左右がだらりと足の裏へ垂れかかっている。この帯へじゃれ付いて、......
単語の意味
メリンス
メリンス・・・薄地で柔らかな毛織物。モスリン。
ここに意味を表示
座布団の表現・描写・類語(道具・家具のカテゴリ)の一覧 ランダム5
机の前には薄っぺらなメリンスの座布団 があって、煙草 の火で焼けた穴が三つほどかたまってる。中から見える綿は薄黒い。
夏目漱石 / 吾輩は猫である
このカテゴリを全部見る
「道具・家具」カテゴリからランダム5
(テーブルクロスにアイロンをかける)テーブルクロスを広げ、数学者にふさわしくそれを目分量で十六等分し、一つ一つのブロックを順々に片付けていった。 まず霧吹きの水を二度噴射させ、熱すぎないか手をかざして確認し、一番めのブロックにアイロンを押し当てる。把手をぎゅっと握り、生地を傷めないよう慎重に、しかしあるリズムを持ってアイロンを滑らせてゆく。眉間に力を込め、小鼻をふくらませ、自分の思い通りに皺がのびているかどうか、凝視している。そこには丁寧さがあり、確信があり、愛さえもがある。アイロンは理にかなった動きをする。最小の動きで最大の効果が得られる角度とスピードが保たれている。博士のテーマである優美な証明が、その古びたアイロン台の上に実現している。
小川洋子「博士の愛した数式 (新潮文庫)」に収録 amazon
同じカテゴリの表現一覧
道具・家具 の表現の一覧
暮らしの表現 大カテゴリ