TOP > 感覚表現 > 刺激 > 苦痛(精神的なつらさ)
心の中を、ふっと、かすかな空気の振動のような、あるいはまた張りつめた野戦の通信線がたちきられる時のような、言い知れぬ苦しみがとおりすぎる。それはふっと胸のほんの入口のところをかすってどこかへ行ってしまう。とまた、ふっと音をたててそれはとおりすぎる。
野間宏 / 崩解感覚「暗い絵・顔の中の赤い月 (講談社文芸文庫)」に収録 ページ位置:57% 作品を確認(amazon)
この表現が分類されたカテゴリ
苦痛(精神的なつらさ)
しおりに登録する
前後の文章を含んだ引用
......とその柱をつなぐ小さな鉄の鎖に塗られた黄色塗料が、眼の端にうつる。後の排水口の水音が、しばらくとだえ、やがてまた、始まる。架空線の網の目をみつめている及川隆一の心の中を、ふっと、かすかな空気の振動のような、あるいはまた張りつめた野戦の通信線がたちきられる時のような、言い知れぬ苦しみがとおりすぎる。それはふっと胸のほんの入口のところをかすってどこかへ行ってしまう。とまた、ふっと音をたててそれはとおりすぎる。及川隆一にはその自分の胸をかすって通りすぎるものが何であるか解らない。彼にはそれを自分の言葉にして言いあらわすことは出来はしない。生存の嫌悪? そうではない。死......
単語の意味
胸(むね)
ここに意味を表示
苦痛(精神的なつらさ)の表現・描写・類語(刺激のカテゴリ)の一覧 ランダム5
私は急にあたりが息苦しくなりました。
梶井基次郎 / 橡の花
顔は勃発する衝動を叩 かれた苦悩のために歪 んで来た。
横光利一 / 日輪
いっそ気を失うか、おかしくなってしまった方がどんなにか楽なのに、嫌悪感がからだの中に充満し、吐き気が込み上げてくるだけでした。
湊 かなえ「花の鎖 (文春文庫)」に収録 amazon
あがきのとれない苦痛
梶井基次郎 / のんきな患者
このカテゴリを全部見る
「刺激」カテゴリからランダム5
同じカテゴリの表現一覧
刺激 の表現の一覧
感覚表現 大カテゴリ