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白く濁ったビニール袋をかぶった脳味噌では思い出せない
向田邦子 / かわうそ「思い出トランプ(新潮文庫)」に収録 ページ位置:74% 作品を確認(amazon)
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忘れる・思い出せない・曖昧な記憶
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前後の文章を含んだ引用
......るに違いない。 それにしても五人は多過ぎる。次長の坪井が何の役に立つというのだ。 学生時代に見た一枚の絵が不意に浮かんで来た。 あれは梅原だったか劉生だったか。白く濁ったビニール袋をかぶった脳味噌では思い出せないが、構図は覚えている。 かなり大きい油絵で、画面いっぱいに旧式の牛乳瓶、花、茶碗、ミルクポット、食べかけの果物、パンの切れっぱし、首をしめられてぐったりした鳥が......
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忘れる・思い出せない・曖昧な記憶の表現・描写・類語(記憶のカテゴリ)の一覧 ランダム5
二十七、八年も前で、ほとんど記憶の底に沈んでいて思い出しもしなかった
山田太一「飛ぶ夢をしばらく見ない」に収録 amazon
(記憶が失ったが母を安心させるために「お母さん。」と言う)「お母さん。」 と私は言った。母がゆっくりうなずいた。嬉しそうに、心をこめたうなずきかたで。そして花嫁みたいに笑った。私は今、人がこの世で一番はじめに知る世にも暖かい単語を口にしたのに、何だか結婚詐欺 をしているちんぴらのように寒々しかった。頭が痛く、母という概念が濃縮された濃い濃い汁になって脳みそにしみていくような痛さだった。しかし同時にその発音は、左胸の下あたりにほんのりと熱い塊をつくった。何なんだろう、と思った。 見れば真昼の病室、強烈に晴れた空が窓の外に見えた。私の記憶のようにすっからかんで、真っ青だった。
吉本 ばなな「アムリタ〈上〉 (新潮文庫)」に収録 amazon
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表情が思い出せない。印象だけだった。
吉本ばなな / サンクチュアリ「うたかた/サンクチュアリ」に収録 amazon
ここで手を離せば永遠に届かない。そんな気持ちで、俺は必死に記憶を探る。
新海 誠「小説 君の名は。 (角川文庫)」に収録 amazon
思い出が、影絵のように加野の瞼に浮んだ。
林 芙美子 / 浮雲 amazon
琥珀の中に閉じこめられた遠い記憶
森 瑤子 / 傷 amazon
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