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どう吹こうとためらっていたような疾風がやがてしっかり方向を定めると、これまでただあてもなく立ち騒いでいたらしく見える三角波は、だんだんと丘陵のような紆濤 に変わって行った。言葉どおりに水平に吹雪 く雪の中を、後ろのほうから、見上げるような大きな水の堆積 が、想像も及ばない早さでひた押しに押して来る。
有島武郎 / 生まれいずる悩み ページ位置:41% 作品を確認(青空文庫)
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時化・海が荒れる、波立つ
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前後の文章を含んだ引用
......物すごくも心強くも響いて来る。 「おも舵っ」 「右にかわすだってえば」 「右だ‥‥右だぞっ」 「帆綱をしめろやっ」 「友船は見えねえかよう、いたらくっつけやーい」 どう吹こうとためらっていたような疾風がやがてしっかり方向を定めると、これまでただあてもなく立ち騒いでいたらしく見える三角波は、だんだんと丘陵のような紆濤 に変わって行った。言葉どおりに水平に吹雪 く雪の中を、後ろのほうから、見上げるような大きな水の堆積 が、想像も及ばない早さでひた押しに押して来る。 「来たぞーっ」 緊張し切った五人の心はまたさらに恐ろしい緊張を加えた。まぶしいほど早かった船足が急によどんで、後ろに吸い寄せられて、艫 が薄気味悪く持ち上がっ......
単語の意味
堆積(たいせき)
見上げる(みあげる)
三角波(さんかくなみ)
丘陵(きゅうりょう)
堆積・・・何重にも高く積み重なること(もの)。雨風など自然の力で土砂が運ばれて、地表や水底にたまること。
見上げる・・・1.下から上のほうを見る。
2.立派だなぁ、と感心する。
2.立派だなぁ、と感心する。
三角波・・・進む方向がの違う二つ以上の波がぶつかってできる、三角形の高い波。台風の中心の海などで発生する。
丘陵・・・なだらかな起伏が、帯状に続く地形。
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黒い波の峰と波の谷とがかわるがわる目の前に現われる
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浪は浪を呑み、捲き、煽 り立て
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朝凪が波を消し海は太古のような静かな威厳に満ちている。
檀 一雄 / 花筐「花筐―はなかたみ 檀一雄短編集 (1969年)」に収録 amazon
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