夏の光があたかも目に見えぬ分水嶺を越えるかのようにその色あいを微かに変える頃
村上春樹 / 1973年のピンボール ページ位置:21% 作品を確認(amazon)
この表現が分類されたカテゴリ
夏の日差し・光
しおりに登録する
前後の文章を含んだ引用
......な季節だった。夏のあいだに休暇で街に帰っていた数少ない彼の友人たちは、九月の到来を待たずに短かい別れの言葉を残し、遠く離れた彼ら自身の場所に戻っていった。そして夏の光があたかも目に見えぬ分水嶺を越えるかのようにその色あいを微かに変える頃、鼠のまわりを僅かな期間ではあるがオーラの如く包んでいたある輝きも消えた。そして暖かい夢の名残りも、まるで細い川筋のように秋の砂地の底に跡かたもなく吸い込まれて......
単語の意味
分水嶺(ぶんすいれい)
分水嶺・・・降った雨水が、それぞれ異なる川に流れていく原因となる、境界線になる山の尾根。
ここに意味を表示
夏の日差し・光の表現・描写・類語(夏のカテゴリ)の一覧 ランダム5
雲間を割って夏の陽が落ちかかってくる
池波正太郎 / 剣客商売 amazon
このカテゴリを全部見る
「夏」カテゴリからランダム5
巡査の制服は一気に夏服になった
有島武郎 / 或る女
庇(ひさし)の間から見える無数の星までも蒸されるように暑い
山崎 豊子 / 暖簾 amazon
夏の海が銀紙を貼り付けたように鈍く、そのくせ眼底までくらませるような強い光を跳ね返してくる
阿久悠 / 瀬戸内少年野球団 amazon
吉川英治 / 銀河まつり
同じカテゴリの表現一覧
夏 の表現の一覧
風景表現 大カテゴリ