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「あんたのお父さん、腕のええ船頭やったそうやなあ」 喜一は黙っていた。父親のことは記憶にないようだった。
宮本 輝 / 泥の河「螢川・泥の河(新潮文庫)」に収録 ページ位置:46% 作品を確認(amazon)
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忘れる・思い出せない・曖昧な記憶
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前後の文章を含んだ引用
......前は中之島公園におったんやろ?」「うん、そやけど、あそこは川も公園のうちやから、住んだらあかんて言われたんや」 晋平は濡れタオルで喜一の顔の汚れを拭いてやった。「あんたのお父さん、腕のええ船頭やったそうやなあ」 喜一は黙っていた。父親のことは記憶にないようだった。 そのとき、三、四人の客が入って来た。みなポンポン船で川を上り下りしている顔馴染みの男たちである。たちまち店内には汗の臭いが満ちた。「悪いけど、もう店閉めよかと......
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忘れる・思い出せない・曖昧な記憶の表現・描写・類語(記憶のカテゴリ)の一覧 ランダム5
(言いたいことを忘れる)自分がどんな文脈で話をしようとしていたかを、一瞬見失ってしまうのだ。強い風が突然吹いて、演奏中の譜面を吹き飛ばしてしまうみたいに。
村上 春樹 / 1Q84 BOOK 1 amazon
(記憶が失ったが母を安心させるために「お母さん。」と言う)「お母さん。」 と私は言った。母がゆっくりうなずいた。嬉しそうに、心をこめたうなずきかたで。そして花嫁みたいに笑った。私は今、人がこの世で一番はじめに知る世にも暖かい単語を口にしたのに、何だか結婚詐欺 をしているちんぴらのように寒々しかった。頭が痛く、母という概念が濃縮された濃い濃い汁になって脳みそにしみていくような痛さだった。しかし同時にその発音は、左胸の下あたりにほんのりと熱い塊をつくった。何なんだろう、と思った。 見れば真昼の病室、強烈に晴れた空が窓の外に見えた。私の記憶のようにすっからかんで、真っ青だった。
吉本 ばなな「アムリタ〈上〉 (新潮文庫)」に収録 amazon
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恐怖の条件づけは扁桃体が担っているのです。もし、今後、皆さんが銀行に来ることに恐怖を抱くようになってしまいましたら、不本意ではありますが、それは私たちと扁桃体の責任になります
伊坂 幸太郎「陽気なギャングが地球を回す (祥伝社文庫)」に収録 amazon
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