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ミュウの姿は少しずつ小さくなり、ひとつのおぼろげな点になり、やがて陽炎の中に吸い込まれていった。それから町が遠ざかり、山のかたちが不確かになり、最後には島そのものが光のもやと絡み合うように、かすんで消えていった。
村上春樹「スプートニクの恋人 (講談社文庫)」に収録 ページ位置:82% 作品を確認(amazon)
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遠くに見える・遠ざかる
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前後の文章を含んだ引用
......に体をもたせかけて、ずっと彼女を眺めていた。時間はそこでいったん静止し、その光景はぼくの記憶の壁に鮮明に焼きつけられることになる。 しかし時間が再び動き出すと、ミュウの姿は少しずつ小さくなり、ひとつのおぼろげな点になり、やがて陽炎の中に吸い込まれていった。それから町が遠ざかり、山のかたちが不確かになり、最後には島そのものが光のもやと絡み合うように、かすんで消えていった。べつの島が現れ、それもまた同じように姿を失っていった。しばらく時間がたつと、ぼくがあとにしてきたなにもかもが、まるでそもそもの最初から存在しなかったような気がし......
単語の意味
朧げ(おぼろげ)
陽炎(かげろう・ようえん)
姿・形・容・態・躰・體・軆・骵(すがた)
朧げ・・・ボーっとしてはっきりしない。不確かなさま。
陽炎・・・春や夏の穏やかな日に、透明の炎のような揺らめきが地面からユラユラと立ちのぼる現象。局所的に密度の違う空気が混じることで、光が異常屈折して起こる。
姿・形・容・態・躰・體・軆・骵・・・1.身体の形。からだつき。人のからだの格好。衣服をつけた外見のようす。
2.身なり。容姿。
3.目に見える、人の形。人の存在。
4.物の、それ自体の形。物一つ一つの全体的な印象。
5.物事のありさまや状態。事の内容を示す様相。
以下の文字は訓読みで、「すがた」と読める。
[形・容・態・躰・軆・體・骵]
2.身なり。容姿。
3.目に見える、人の形。人の存在。
4.物の、それ自体の形。物一つ一つの全体的な印象。
5.物事のありさまや状態。事の内容を示す様相。
以下の文字は訓読みで、「すがた」と読める。
[形・容・態・躰・軆・體・骵]
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望遠鏡を反対からのぞき込んでいる時のように、いろんなものがずっと遠くに感じられた。
村上 春樹「羊をめぐる冒険」に収録 amazon
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(画家の息子に街を案内される)かの女はむす子に案内されて画商街へモダンの画を見に通った幾日かを思い起した。それらは、むす子が素性のいい恋人と逢うのに立ち会うように楽しかった。
岡本かの子 / 母子叙情
うるさくつきまとう小蠅みたいに、いつも近くにいる
高樹 のぶ子 / その細き道 (文春文庫 amazon
散開して、マル対を遠巻きに囲むようにして尾行する。
翔田 寛「真犯人 (小学館文庫)」に収録 amazon
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