雨に煙ったサイドミラーの中にぽつんと灯っていた赤い色は、シクラメンだったのだろうか。それとも私を見送る彼女の傘だったのだろうか。
浅田次郎 / 伽羅「鉄道員(ぽっぽや) (集英社文庫)」に収録 ページ位置:96% 作品を確認(amazon)
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雨の景色、視界
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前後の文章を含んだ引用
......伽羅」の前を通り過ぎた。 初荷を卸さねばならぬ店はいくらでもあった。 坂の上の一時停止で、ルームミラーを見た。荷台はパステル・カラーのスーツでいっぱいだった。 雨に煙ったサイドミラーの中にぽつんと灯っていた赤い色は、シクラメンだったのだろうか。それとも私を見送る彼女の傘だったのだろうか。「伽羅」の噂は、その後ついぞ聞いてはいない。......
単語の意味
煙る・烟る(けむる・けぶる)
煙る・烟る・・・霧やかすみなどで辺りがぼやける。白煙や色のある煙がもくもくと出て、辺り一面に広がる様子。
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(建物の)黒い壁の部分で、細い雨は、はっきりと降っているのがわかる。その屋根の上に灰色の絵具を何度も重ね塗りしたような重そうな雲に被われた空がある。あの限られた長方形(半開きの扉から見える外)の視界の中で、その空の部分が最も明るい。
村上 龍 / 限りなく透明に近いブルー amazon
雨に烟(けむ)ってぼんやりと白い花がぽつぽつ浮かぶ
志賀 直哉 / 小僧の神様・城の崎にて amazon
雨が白い糸となって対岸の色を消す
中沢 けい / 野ぶどうを摘む amazon
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「雨・霧」カテゴリからランダム5
針のように細い、そして綿のように柔らかな雨
村上 春樹 / 1973年のピンボール amazon
薄い海霧 が一面に――然 しそうでないと云われれば、そうとも思われる程、淡くかかった。
小林多喜二 / 蟹工船
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