微かな苛立ちに似た思いが腹の底で渦巻く

いらいらと落ち着かない

叫び出したいほど苛立たしい

これを飲めば、女は鎖が解けたみたいに乱れるさ。

もぞもぞする

やきもきする気持ちが胸いっぱいに広がる

やけを起こす

焦慮する

居ても立ってもいられないもどかしさ

トラブルが起ると気分がかきまわされ、仕事が手につかない

腫れ物に触れるようにそわそわする

何もできないもどかしさに苛立ちだけが募る

背中を走る神経の束を逆撫でされたような苛立ち

悪魔に乗り移られてでもいるように狂おしい

駐車場で後ろから車が来ているのに、駐車券が見つからないくらい焦る

焼きつくような焦慮

夜の営みを子供に見られたみたいに焦る

焦燥感が嘔吐のように繰り返し襲ってくる

七尾は、自分の視界が狭くなるのが分かった。焦りのため、鼓動が早鐘を打ちはじめる。息が上がり、えもいわれぬ不安で胸が締め付けられる。頭を振った。どうする、どうする、と頭の中に囁き声が充満する。思考が、氾濫した水で押し流される。渦を巻き、思い浮かべた言葉や感情を、洗濯でもするかのようにごちゃまぜにする。七尾はその、焦燥感の洪水に身を任せた。激流が頭を搔き回す。もちろんほんのわずかな時間に過ぎず、たとえば、まばたきを数回するほどの間だったが、その奔流が止んだ途端、気持ちが切り替わった。頭の中の濁りが消え、思考や逡巡もなく、体が動く。先ほどとは打って変わり、視界が広くなる。

心が奔馬のよう逸（はや）る

焼きつくような焦慮

おなかがすいて、たべ物が目の前にないときはちょっといらいらしている。

けったくそが悪い

ただ主人の視界の中にいるというだけで激しい罵声を浴びせられた。

気持ちがなんとなくチグハグで落ち着かない