謙作はそれを見ているうちに昨夜来自分から擦り抜けて行った気分を完全に取りもどしたような気がした。
直哉, 志賀「暗夜行路 (新潮文庫)」に収録 ページ位置:5% 作品を確認(amazon)
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気持ちに区切りをつける・気を取り直す
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......は段々と吸い込まれるように口へ入って行った。一つの葉が唇から隠れると謙作は又次の葉をやった。仔山羊は立ったままの姿勢で口だけを動かし、さも満足らしく食っている。謙作はそれを見ているうちに昨夜来自分から擦り抜けて行った気分を完全に取りもどしたような気がした。彼はちょっと快活な気分になって、「さあ、お仕舞いだ」と云って、両の掌に仔山羊の小さい頭を挾んでぐいと胸へ引き寄せた。仔山羊は吃驚して、ちょっと抵抗したが、直ぐさ......
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謙作はそれを見ているうちに昨夜来自分から擦り抜けて行った気分を完全に取りもどしたような気がした。
直哉, 志賀「暗夜行路 (新潮文庫)」に収録 amazon
私はエプロンの紐 を締めなおすと、陽気に唄を唄いながら、海底のような階下の雑沓 の中へ降りて行った。
林芙美子 / 新版 放浪記
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無表情で坐っているように見えて、降りようとする人には降りようとする表情があるのが判る
向田邦子 / 犬小屋「思い出トランプ(新潮文庫)」に収録 amazon
(自尊心を傷つける)自尊心を下ろし金にかけるようなことをする
倉橋 由美子 / 倉橋由美子の怪奇掌篇 amazon
深海のたった一匹の魚をつろうとしているほどあいまいなもの
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