わたしは少しもつらくないし、悲しくなかった。気持ちは、砂時計の砂のようにさらさらに乾いていた。
小川洋子 / 冷めない紅茶「完璧な病室 (中公文庫)」に収録 ページ位置:15% 作品を確認(amazon)
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かわいた気持ち
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......たいに黒ずんでぐったりしていて、髪にしみ込んだ海のにおいは、胃液のにおいと区別がつかなくなって……と、いくらでも詳細に切れ目なく並べ立てることができた。その上、わたしは少しもつらくないし、悲しくなかった。気持ちは、砂時計の砂のようにさらさらに乾いていた。 それは、彼が死んでもわたしは何も失う物がないからだろう。彼の死は、無機化合物的な死だ。決してじめじめしていない。清潔に乾いている。彼はこの十年以上の間、わたし......
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彼はこのとき自分の体の中に一つの大きな奇妙な穴のようなものがあいているのを認めた。そしてその大きな空洞には、細い奥深い肉の襞膜が無数にあって、それがいまは全く乾ききって湿気の当るのを待っている。そして彼はその乾燥した襞膜を、濡らしてやらなければならないのである。《…略…》彼は自分の干された茸のような内部を、しめしてやらなければならない。
野間 宏 / 崩解感覚「暗い絵・顔の中の赤い月 (講談社文芸文庫)」に収録 amazon
わたしは少しもつらくないし、悲しくなかった。気持ちは、砂時計の砂のようにさらさらに乾いていた。
小川洋子 / 冷めない紅茶「完璧な病室 (中公文庫)」に収録 amazon
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青年はビールの酔いを肩先にあらわしながら、コップの尻でよごれた卓子 にかまわず肱 を立てて、先ほどからほとんど一人で喋 っていた。
梶井基次郎 / ある崖上の感情
去勢された犬が過去の記憶に従って雌犬の尻の匂いを嗅ぐみたいに、(過去の栄光を引きずる)
村上 春樹 / ダンス・ダンス・ダンス(上) amazon
、持ち前のセンスと実行力の全てを振りしぼる
池井戸潤「下町ロケット (小学館文庫)」に収録 amazon
いたく興奮だけをしてるようで、あちらでの時間の経過の速さとこちらのそれとでは、結構なはぐれがあるように感じた
川上 未映子「乳と卵(らん) (文春文庫)」に収録 amazon
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