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彼は、ウォッカで酔ってゆく時の 角度 を愛していた。素潜りのように、深い酩酊の 淵 に向けて、まっすぐ一直線に沈んでゆく。途中の道行きは澄んでいて、言葉は決して追いつかず、風味でさえ、振り返った水面に遠く輝く光のようだった。  二杯を立て続けに飲んだところで、彼はようやく日常から完全に遠ざかって、その底の孤独にまで達した。投げ出された人形のような無意志的な動きで、リラックス・チェアの背に体を 凭 せた。そうしてしばらく、首の傾いたままのその姿勢で陶然としていた。
平野啓一郎「ある男」に収録 ページ位置:13% 作品を確認(amazon)
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酒に酔う・酔っ払う
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前後の文章を含んだ引用
......き抜けていった。 三度も繰り返してそのメドレーを聴くと、彼はプレイヤーを止めた。音楽は、もうそれで十分で、自分の内と外とが、両ながらに静まってゆくのを感じた。 彼は、ウォッカで酔ってゆく時の角度を愛していた。素潜りのように、深い酩酊の淵に向けて、まっすぐ一直線に沈んでゆく。途中の道行きは澄んでいて、言葉は決して追いつかず、風味でさえ、振り返った水面に遠く輝く光のようだった。 二杯を立て続けに飲んだところで、彼はようやく日常から完全に遠ざかって、その底の孤独にまで達した。投げ出された人形のような無意志的な動きで、リラックス・チェアの背に体を凭せた。そうしてしばらく、首の傾いたままのその姿勢で陶然としていた。『──俺は幸せなんだ。……』 彼は先ほど、電気を消した子供部屋で、息子の手を握ったまま唐突に襲われた強烈な幸福感のことを考えた。『俺はこの子の父親なんだ。』と胸......
単語の意味
陶然(とうぜん)
意志的(いしてき)
淵・潭(ふち)
体(からだ)
首・頸・頚(くび)
背(せ)
暫く・姑く・須臾(しばらく)
陶然・・・酒に酔っ払って気持ちのいいさま。心を奪われて気持ちよくなっているさま。「然」は他の語の後ろに付いて、状態をあらわす字。
意志的・・・その人の言動や雰囲気に意思の強さが感じられるさま。
淵・潭・・・1.川などで、底がよどんでいる場所。潭(たん)。 ⇔ 瀬。
2.苦しい境遇。苦境。「悲しみの淵に沈む」
・・・頭・胴・手足など、肉体全体をまとめていう言葉。頭からつま先までの肉体の全部。身体。体躯。五体。健康。体力。
首・頸・頚・・・1.頭と胴体をつなぐ細い部分。頸部(けいぶ)。また、「頭」そのものを指す場合もある。
2.1に似た役割を果たす部分や似た格好の部分。衣服の襟(首にあたる部分)。「びんの首」「セーターの首」など。
3.免職や解雇することをあらわす。首を切るという意味から。
・・・1.背中。動物の胴体の背骨のある側。胸や腹と反対の面で、両肩の間から腰のあたりまでの部分。背面。
2 物の後ろ側。背面。
3.立っているものの、高さ。
暫く・姑く・須臾・・・1.長いと感じるほどではないが、すぐともいえないほどの時間。ちょっとの間。一時的。
2.ちょっと待った!
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