心の傷・トラウマの表現・描写・類語(記憶のカテゴリ)の一覧 ランダム5
心の奥底に葛籠を抱いていた。その中には自分を破滅させる穢れが詰まっていると思い込んでいた。長い歳月、怯えて生きてきた。必死で葛籠を隠し、蓋を押さえつけてきた。だが、いざ開いてみれば、中に詰まっていたのは哀しみだけだった。
横山 秀夫「クライマーズ・ハイ (文春文庫)」に収録 amazon
自分の過去のつらい記憶を思い出さずにいられず、それはすっかり乾いたと思えるかさぶたを、そっと触り、さすがにそろそろ治ったかしら、とめくって確かめる感覚と似ていた。
伊坂 幸太郎 / アイネクライネナハトムジーク amazon
あんたたちから投げつけられた言葉や態度は、忘れようにも忘れられないんだよ。傷つけたほうは簡単に忘れても、傷つけられたほうは忘れられない。
池井戸潤「下町ロケット (小学館文庫)」に収録 amazon
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「記憶」カテゴリからランダム5
(思い出に胸を痛める)過ぎ去った時間が鋭く尖った長い串となって、彼の心臓を刺し貫いた。無音の銀色の痛みがやってきて、背骨を凍てついた氷の柱に変えた。その痛みはいつまでも同じ強さでそこに留まっていた。彼は息を止め、目を堅く閉じてじっと痛みに耐えた。
村上 春樹 / 色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年 amazon
掌から零(こぼ)れ出すほどの過去を一筋一筋と摘み上げては、歩いて来た道を憶(おも)い出す
高樹 のぶ子 / その細き道 (文春文庫 amazon
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