TOP > 風景表現 > >


カテゴリ検索 単語の意味
(桜とバラの比較)ヨーロッパ人はバラの花を賞賛するが、私たち日本人はそれを共有する感覚は持ち合わせていない。バラには桜花の持つ簡素な純真さに欠けている。それだけではない、バラはその甘美さの陰にトゲを隠し、 執拗 に生命にしがみつく。まるで死を怖れるがごとく、散り果てるよりも、枝についたまま朽ちることを好むかのようにである。しかもバラは華美な色彩と濃厚な香を漂わせる。いずれをとっても桜花にはない特性である。  私たちの愛する桜花は、その美しい装いの陰に、トゲや毒を隠し持ってはいない。自然のなすがままいつでもその生命を捨てる覚悟がある。その色はけっして派手さを誇らず、その淡い匂いは人を飽きさせない。
新渡戸稲造 訳:岬龍一郎「いま、拠って立つべき“日本の精神” 武士道 (PHP文庫)」に収録 ページ位置:72% 作品を確認(amazon)
この表現が分類されたカテゴリ
しおりに登録する
前後の文章を含んだ引用
......愛情を感じているのではない。その花の持つ洗練された美しさ、そして気品に、ほかのどの花からも得ることのできない、「私たち日本人」の美的感覚を刺激されるのである。 ヨーロッパ人はバラの花を賞賛するが、私たち日本人はそれを共有する感覚は持ち合わせていない。バラには桜花の持つ簡素な純真さに欠けている。それだけではない、バラはその甘美さの陰にトゲを隠し、執拗に生命にしがみつく。まるで死を怖れるがごとく、散り果てるよりも、枝についたまま朽ちることを好むかのようにである。しかもバラは華美な色彩と濃厚な香を漂わせる。いずれをとっても桜花にはない特性である。 私たちの愛する桜花は、その美しい装いの陰に、トゲや毒を隠し持ってはいない。自然のなすがままいつでもその生命を捨てる覚悟がある。その色はけっして派手さを誇らず、その淡い匂いは人を飽きさせない。草花の色彩や形は外観だけのもので固定的な性質である。だが、あたりに漂う芳香には揮発性があり、あたかも生命の息吹のように、はかなく天に昇る。それゆえにあらゆる宗教......
単語の意味
淡い(あわい)
甘美(かんび)
濃厚(のうこう)
桜花(おうか)
香(こう)
偽装・擬装(ぎそう)
装い(よそおい)
持ち合わせ・持ち合せ(もちあわせ)
淡い・・・味や色や香りなどが薄い。光や形がぼんやりしている。
甘美・・・1.甘みがあって味がおいしいこと。
2.うっとりと気持よくなること。
濃厚・・・1.濃い。こってりしている。
2.可能性がとても高いこと。
桜花・・・1.桜の花。
2.第二次世界大戦末期に日本海軍で実戦投入された、特攻専用のロケットエンジン型滑空機。零戦などのプロペラ機とは異なり、ミサイルに操縦桿がついただけの簡素な機体で、上空で母機から切り離されしばらく滑空後、標的へ近づいたらジェット噴射を行い超低空から猛スピードで敵艦に突っこむ仕様。
・・・かいでいい匂いがするもの。いい匂いがする物質(香料)を練り固めたもの。火をつけて煙を立ちのぼらせて、香りをたたせるもの。ねり香。お香。
偽装・擬装・・・1.偽(いつ)り装(よそ)うこと。ある事実をおおい隠すための、装いや行動。他人の目をごまかすため、他の物事や状況を装うこと。
2.周囲の風景や他の物とよく似た色や形にして、姿を見分けにくくすること。カムフラージュ。
装い・・・1.身なりや外観を整えること。美しく飾ること。目的や雰囲気に応じた飾り付け、身なり、設備などのこと。また、その姿。装飾。装束。よそい。
2.目にしたようす。趣き(おもむき)。風情(ふぜい)。
3.仕度をすること。準備をすること。
持ち合わせ・持ち合せ・・・身に備え持っているもの。そのときに持っているもの。とくにお金をいう。所持金。
ここに意味を表示
桜の表現・描写・類語(春のカテゴリ)の一覧 ランダム5
このカテゴリを全部見る
「春」カテゴリからランダム5
カテゴリ検索 単語の意味
同じカテゴリの表現一覧
春 の表現の一覧 
風景表現 大カテゴリ
表現の大区分