それ以上なにも言わなかった。しかし沈黙そのものがさまざまなことを雄弁に語っていた。
村上春樹「スプートニクの恋人 (講談社文庫)」に収録 ページ位置:85% 作品を確認(amazon)
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会話の間を取る
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......てぼくの顔を見た。「ずいぶんお若い先生ですね」と彼は言った。「何年ほどお勤めですか?」 ぼくは少し考えるふりをした、「三年目になります」「ふうん」と彼は言った。それ以上なにも言わなかった。しかし沈黙そのものがさまざまなことを雄弁に語っていた。彼はもう一度名刺を手にとって、何かを再確認するようにぼくの名前を眺めた。「わたしは警備主任の中村と申します」と彼は名乗った。名刺はくれなかった。「椅子はそのへん......
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会話の間を取るの表現・描写・類語(言葉を交わすのカテゴリ)の一覧 ランダム5
蒔野は、淡々と語ってはいたが、急に目の焦点を失って、しばらくグラスの中の氷を見つめていた。
平野 啓一郎「マチネの終わりに (文春文庫)」に収録 amazon
(話を再開する)「それからモンロー主義の本体は」 と話の糸目を引っぱり出して
有島武郎 / 或る女
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(言いたいことを言わずに相手の話を聞く)うん。うん。一回ずつ頷くたびに、選択するべきだった正しい言葉たちが、自分から振り落とされていくような気がした。
朝井 リョウ「武道館 (文春文庫)」に収録 amazon
帰れ、と第一声で言えればよかったのだけど、相手もそうならないように、つまらない天気の話とか町の印象などを半笑いでダラダラと話し出し、こちらに怒るタイミングを作らせないようにしながら、本題へと導こうとしていた。
湊 かなえ / ポイズンドーター・ホーリーマザー「ポイズンドーター・ホーリーマザー (光文社文庫)」に収録 amazon
大声で刑場の群衆にむかって叫んだつもりであったが、喉 がつぶれて嗄 れた声が幽 かに出たばかり
太宰治 / 走れメロス
「今夜のことはいっさい他言無用にしていただきたいのです」と坊主頭は言った。そして少し間をとり、そのメッセージが青豆(人名)の意識に定着するのを待った。撒いた水が乾いた地面にしみこんで、そのあとが消えてしまうのを待つように。
村上 春樹 / 1Q84 BOOK 2 amazon
「そう言えば」慎一が気分を変えるように言った。
伊坂 幸太郎「陽気なギャングが地球を回す (祥伝社文庫)」に収録 amazon
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