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前後の文章を含んだ引用

......るかもしれない〉〈帰るの面倒なら、泊まっていけよ〉　外と内との温度差で少し曇っていたベランダのガラス。その向こうの濡れたヨットハーバーと黒真珠のような海。黒崎の別居中の妻は実家に帰ったままだった。ダブルベッドの、本来なら彼女が眠るべき位置に身を横たえるたびに、犯しつつある罪の甘美さがうっとりと十和子を包んだ。　居心地の悪さを感じて我に返る。顔を上げると、食べ終えて煙草を吸っていた陣治が薄い煙越しにこっちを凝視している。何か言いかけた途端に石になってしまったとでもいう......

単語の意味

甘美（かんび）

甘美・・・１．甘みがあって味がおいしいこと。
２．うっとりと気持よくなること。