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麻は、お地蔵さまを好きになれなかった。あの人のいい顔は、どこか 胡散臭い。 「そうかそうか。可哀そうに可哀そうに」  と言いながら、口先だけで、すこしたつとケロリと忘れて居眠りをしているような気がする。赤いよだれ掛けも 猥 りがましい。  戦後の買出し時代、焼け残ったなけなしの品物と物々交換で、さつまいもを売ってくれた 三鷹 あたりの百姓のおじいさんがあんな顔をしていた。人のよさそうな、実にいい顔をして笑う老人だったが、抜け目がなかった。
向田邦子 / 男眉「思い出トランプ(新潮文庫)」に収録 ページ位置:76% 作品を確認(amazon)
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地蔵
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前後の文章を含んだ引用
......ねえ、義兄さん」 ともとれる。「ふふふふ」 という声にならない含み笑いにも受取れた。夫の目は、背中からはうかがえなかったが、麻には一生出来ない妹の目であった。 麻は、お地蔵さまを好きになれなかった。あの人のいい顔は、どこか胡散臭い。「そうかそうか。可哀そうに可哀そうに」 と言いながら、口先だけで、すこしたつとケロリと忘れて居眠りをしているような気がする。赤いよだれ掛けも猥りがましい。 戦後の買出し時代、焼け残ったなけなしの品物と物々交換で、さつまいもを売ってくれた三鷹あたりの百姓のおじいさんがあんな顔をしていた。人のよさそうな、実にいい顔をして笑う老人だったが、抜け目がなかった。 母と一緒にリュックをかついで買出しに出掛け、そのおじいさんのうちの縁側に腰かけていた時、空襲警報のサイレンが鳴った。 負けがこんでいる時で、もう上空にはP51......
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口先(くちさき)
胡散(うさん)
口先・・・1.口の先。口の先端。
2.うまい事を言う技術。心のこもっていない、口でいうだけ言葉。行動や気持ちが伴わない、うわべだけの言葉や話しぶり。
胡散・・・全体から受ける印象や態度が変で、疑わしいさま。怪しいさま。不審なさま。「胡」は「いい加減な」「でたらめな」という意味をもつ字。なお、「胡散臭い(うさんくさい)」の「くさい」は「~らしい」という意味。
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幅広い石段
直哉, 志賀「暗夜行路 (新潮文庫)」に収録 amazon
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