駅を出た電車は少しずつスピードを上げる。街の灯はだいぶまばらになった。もうすぐ電車は多摩川の鉄橋を渡る。そこを境に気温がぐんと下がって、窓が白く曇ってくるだろう。秋の終わりだ。

「結婚式はやはり秋がいいな」と僕は言った。「まだリスも熊も呼べるし」

都会の花瓶にも可憐なコスモスがほころびる頃

短い秋の日は瞬く間に暮れる

十一月も末日となると五時を過ぎると一気に夜へと向かう

けだるい日曜日の午後、少し開いた窓からひんやりとした風がそよそよ入ってきていた。世界中が少しだけ黄色になって、空気が透明になっている。光線が目に見えるほどはっきりとしている。いつのまにか秋の気配がせまってきていた。

槲（オーク）の林は今がちょうど紅葉の盛り時。その深い繁りの中に射し込む夕陽の光は木の葉の一枚一枚を照らして、まるで金色の雨を降り注ぐようである。

残暑が遠のくと、季節は露骨なほど秋らしい顔を見せる

黄色く熟した田

（秋のパリ）何か腹掛（はらが）けのようなものを胸に当てたアイスクリーム屋のイタリー人が、いつか焼栗（やきぐり）売りに変（かわ）っている。