桜がパッと咲いたような娘

熱帯の花のように強烈な印象の娘

（美少女）贅肉 を払ったような簡潔な美しさがあった。

粉をふいたような乾き果てた倦怠の匂いのある少女

清潔なけがれのない体

青臭い

（十九歳）男を識（し）ればすぐにも男に糸を摑（つか）まれそうな危なっかしい年齢

薄暗い茫洋とした世界を生命力のかたまりになって、ただがむしゃらに転がりまわっている十代

娘はまだ固い蕾のようなところがある

秋の花のような娘

親子ほど年が離れたカップル

危うげなほど繊細な魅力が彼女のまわりをほんのりと蒸気のように包んでいた

（入院中の爺さんをお見舞いに来て爺さんに怒鳴られて）老婦人は顔を伏せてちぢこまっているが、別にしょんぼりしている様子でもない。四十年も五十年もこの調子でどなりつけられてきて、何も感じなくなっているのだろう。《…略…》 （婆さんが言う）「すみませんねえ。うるさい、きたない年寄りで……」　テーブルの下の棚から、やっと「突き匙」が出てきたときには、吉田老は怒り過ぎたのか、いささかぐったりとしていた。姿勢をしゃんと正さず、半分起きた状態で果物を口に運ぶために、喉仏から鎖骨のあたりに果汁がぼたぼたこぼれ落ちる。婆さんはそれを見て、またしきりに〝きたない〟〝きたない〟と繰り返すのだった。　最初のうち、おれはこの老夫婦の会話をほほえましく聞いていたのだ。昔ながらの封建的だが駄々っ子のような亭主と忍従型の老妻とのやりとりとして。　誤算だった。　婆さんの顔は、押さえきれない喜びに輝いていた。　婆さんは、いまやじっくりと復讐を楽しんでいるのだった。愚鈍を装って、傲慢な夫の神経に、一本一本細い針を突き立てている。ののしられ、婢（はしため）あつかいされ続けたこの半世紀の間、婆さんはじっとこの日を待ち続けて耐えてきたのだろう。いまや、吉田老に残された武器は、どなり慣れた口だけだ。それも所詮は空砲だ。婆さんはいま、案山子の正体を知ったカラスになって、じわじわと一本足の吉田老に近づいていくのだった。

顔立ちのいい女

娘は少しおかめ型の顔をしてマネキン人形のような美しさに整（ととの）い過ぎている