子供の誕生日プレゼントを買うはずだった金や、嫁を蹴とばして財布から取ってきた金をギャンブルにつぎ込む

実直過ぎるほどの小心さと、アブノーマルな山ッ気とで、人生の半分は苦労で埋れていた人

ギャンブルでお金を溶かしていく

（パチスロ）目の前に並んだ数字は７と７と７。派手なイルミネーションが、不屈の闘志で戦い続けた俺を祝福する。

（競馬）甲高いラッパのファンファーレが鳴って、ガシャンという音を立ててゲートが開く

目にびかびかする色の立ち代り、人の転換される画面のテレビ

歌舞伎の芝居は、実体のない神がかりの恍惚境を招き出す媒体

（武道館でのライブ）たったひとりの彼女が何か言うたび一万人以上分の声が一斉に波打つその様子は、まるで、薄皮一枚で包まれている宇宙を指でつっついている神様のようだ。

（ありきたりなストーリーの退屈な映画）映画は当然すぎるほど当然な筋を辿って凡庸に進展していった。台詞も凡庸なら、音楽も凡庸だった。タイム・カプセルに入れて「凡庸」というラベルを貼って土に埋めてしまいたいくらいのものだった。

ボクシングを映し出す画面は大きく、飛び散る汗がこちらにかかるような錯覚を受けるほど、臨場感がある。