言葉が終わると同時に、まち子は邦彦に近づいてきた。ただ単に、まち子は顔をあげただけかも知れなかったが、邦彦はそこに顔を埋めていった。それはすぐに離れて行ったが、初めて嗅いだ口紅の 匂いが、いつまでも邦彦の 唇 に残っていた。
宮本 輝「道頓堀川(新潮文庫)」に収録 ページ位置:56% 作品を確認(amazon)
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キス・口づけ
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......さくはかなく、遠い辺境の地であるかのように映るのである。 邦彦は自分の肩のあたりにあるまち子の顔を見た。「さくらんぼみたいやて。うち、さくらんぼ、嫌いやねん」 言葉が終わると同時に、まち子は邦彦に近づいてきた。ただ単に、まち子は顔をあげただけかも知れなかったが、邦彦はそこに顔を埋めていった。それはすぐに離れて行ったが、初めて嗅いだ口紅の匂いが、いつまでも邦彦の唇に残っていた。「小太郎、もう帰ってけえへんわ」 西風がふたりの後方から吹いて来て、水面に浮かんでいる一本の縄を流れとは反対の方向に動かした。川をのぼって行くよじれた短い縄を見......
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(二つの影)二つの頭はひとつになり、たがいをむさぼり合う音が聴こえてきた。
浅田次郎 / 悪魔「鉄道員(ぽっぽや) (集英社文庫)」に収録 amazon
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これは一夜の情事などではない、もっと別の何かなのだ、という思いがわたしの中には強くあったのだが、野呂もまた、そうした気配を伝えてくれた。言葉にはしなかったが、明らかに彼が、わたしとの間に起こった出来事を、連続する一つの時間の流れの中で捉えようとしているのがわかった。
小池真理子「愛するということ (幻冬舎文庫)」に収録 amazon
稚拙な動作で体を交えた。
阿刀田 高 / 捩れた夜「ナポレオン狂 (講談社文庫)」に収録 amazon
僕はもう一度唇を重ねに行った。今度は自然と舌を絡ませていた。彼女の歯並びを確認し、舌の動きを追っているうちに、もう何がなんだかわからなくなってくる。ただ気持ち良いという感覚だけが今の僕だった。
乾 くるみ / イニシエーション・ラブ amazon
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