蟬 は今日もすがすがしい声で鳴き、空は 碧 く澄みわたり、まだ空気は 爽やかだった。
遠藤周作「沈黙(新潮文庫)」に収録 ページ位置:56% 作品を確認(amazon)
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蝉(せみ)
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前後の文章を含んだ引用
......された驢馬のように信徒たちは、一列に並ばされた。この間の役人衆たちではなく、若い下役たちが腕を組んで牀机に腰をかけている。番人たちが棒を持って見張りをしている。蟬は今日もすがすがしい声で鳴き、空は碧く澄みわたり、まだ空気は爽やかだった。まもなくいつものようにけだるい暑さがくるだろう。中庭に引きだされないのは司祭だけで、格子に肉の落ちた顔を押しあてて彼は、今から始まる踏絵の光景をじっと見つめてい......
単語の意味
蝉・蟬(せみ)
清清しい・清々しい(すがすがしい)
蝉・蟬・・・1.セミ科の昆虫を総称。夏に鳴く虫の代表。羽を畳んで木に止まり、雄は高い声で鳴きたてる。幼虫は数年かかって成虫になるが、成虫の寿命は10日から20日と短い。
2.高いところに物を引き上げるときに使う、小さな滑車。
2.高いところに物を引き上げるときに使う、小さな滑車。
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蝉(せみ)の表現・描写・類語(昆虫・虫のカテゴリ)の一覧 ランダム5
油を焦がすようだった蝉の音も次第に消えて行く
水上 瀧太郎 / 山の手の子「俤 (百年文庫)」に収録 amazon
時折、何に驚いたのか、雑木林の中で一匹の油蟬がチ、チと飛びたつ。
遠藤周作「沈黙(新潮文庫)」に収録 amazon
みいんみいんと暑くるしく蝉が啼きたてている。
林芙美子 / 新版 放浪記
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(みみず)暗い土の上に水のような色でも広がるように、じいいという煙のような声が立ち浸みている。
鈴木 三重吉 / 桑の実 amazon
糸杉のそれぞれの幹には数え切れないほどの蟬がしっかりとしがみついて、世界が終末に向って転がり始めたといった風に鳴きわめいていた。
村上 春樹「羊をめぐる冒険」に収録 amazon
雑木林から滝のように 蟬 の声が聞えて
遠藤周作「沈黙(新潮文庫)」に収録 amazon
黒胡麻のような水すまし
外村 繁 / 澪標「澪標・落日の光景 (講談社文芸文庫)」に収録 amazon
裏の松林で鳴く油蝉が、濁った余韻のない響を、乾燥した空中にベルトのように吐き出していた。
石坂 洋次郎 / 若い人 amazon
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