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(記憶障害)三十年前に自分が見つけた定理は覚えていても、昨日食べた夕食のメニューは覚えておりません。簡潔に申せば、頭の中に八十分のビデオテープが一本しかセットできない状態です。そこに重ね録りしてゆくと、以前の記憶はどんどん消えてゆきます。義弟の記憶は八十分しかもちません。きっちり、一時間と二十分です
小川洋子「博士の愛した数式 (新潮文庫)」に収録 ページ位置:2% 作品を確認(amazon)
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忘れる・思い出せない・曖昧な記憶
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前後の文章を含んだ引用
......です。交通事故に遭って、頭を打ったのです。義弟の記憶の蓄積は、一九七五年で終わっております。それ以降、新たな記憶を積み重ねようとしても、すぐに崩れてしまいます。三十年前に自分が見つけた定理は覚えていても、昨日食べた夕食のメニューは覚えておりません。簡潔に申せば、頭の中に八十分のビデオテープが一本しかセットできない状態です。そこに重ね録りしてゆくと、以前の記憶はどんどん消えてゆきます。義弟の記憶は八十分しかもちません。きっちり、一時間と二十分です」 もう何度も同じ説明を繰り返してきたからだろう。老婦人は何の感情も込めずに淀みなく喋った。 八十分の記憶について具体的なイメージを持つのは難しかった。もちろん......
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(言いたいことを忘れる)自分がどんな文脈で話をしようとしていたかを、一瞬見失ってしまうのだ。強い風が突然吹いて、演奏中の譜面を吹き飛ばしてしまうみたいに。
村上 春樹 / 1Q84 BOOK 1 amazon
「あんたのお父さん、腕のええ船頭やったそうやなあ」 喜一は黙っていた。父親のことは記憶にないようだった。
宮本 輝 / 泥の河「螢川・泥の河(新潮文庫)」に収録 amazon
(曖昧な記憶)乱れたビデオの画面のように錯乱した記憶
日野 啓三 / 夢の島 amazon
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