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改めてソファにひっくり返り、昼近くまでうとうとする。十一時になると起き出して顔を洗う。歯磨きの白いしみの飛んだ曇った鏡に、三十八歳の職のない男のむくんだ顔がうつっている。空気が 澱み、時間まで腐ってしまいそうだ。
向田邦子 / マンハッタン「思い出トランプ(新潮文庫)」に収録 ページ位置:7% 作品を確認(amazon)
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だらだら暮らす
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......郵便受に邪慳な音で朝刊が差し込まれる。煙草をすいながら、買う筈もないマンションや釣情報のひらめ釣りのコツ五カ条というのまで読む。男子求人欄などは絶対に見ない。 改めてソファにひっくり返り、昼近くまでうとうとする。十一時になると起き出して顔を洗う。歯磨きの白いしみの飛んだ曇った鏡に、三十八歳の職のない男のむくんだ顔がうつっている。空気が澱み、時間まで腐ってしまいそうだ。 十一時半になるのを待って、サンダルを突っかけ、近所の陽来軒へ行き、固い焼きそばを注文する。固い焼きそばは口の天井に突き刺さって食べにくい。食べにくいが、自分を......
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だらだら暮らすの表現・描写・類語(暮らし・生活のカテゴリ)の一覧 ランダム5
何の約束も期限も予定もない。ふやけたように実体のない毎日が、いくつもいくつも通り過ぎてゆく。 わたしは今、生活に関するあらゆる種類の面倒さを猶予されている。
小川 洋子 / ドミトリイ「妊娠カレンダー (文春文庫)」に収録 amazon
飼い猫のようにだらりとした生活
阿佐田 哲也 / 麻雀放浪記〈1〉青春篇 amazon
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座ってもたれかかっている居間と和室を区切る柱はすり減って細く、柱の表面の木はところどころ削れていたり、黒ずんでいたり、部屋の年月を感じさせる。木目を指でなぞると、滑らかすぎる感触に鳥肌が立ち、指から身体にまで伝わった。ありもしない木のささくれを、手の平が想像している。果芯のように細い柱。私たちは日にちの経ったりんごのなかで、黒い種になり向かい合いながら暮らしている。
綿矢 りさ「しょうがの味は熱い (文春文庫)」に収録 amazon
腰の抜けたような安息だった。
浅田次郎 / 悪魔「鉄道員(ぽっぽや) (集英社文庫)」に収録 amazon
これがお前の生きている現実なのだと言い立てるような勢いで、いろいろな用件が取り囲む
辻井 喬 / 暗夜遍歴 amazon
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