TOP > 人物表現 > 動作・仕草・クセ > 口笛を吹く


カテゴリ検索 単語の意味
音色はか細く、震えがちでありながら、同時に粘り強くもあった。何かのメロディーを奏でているわけではなく、リズムも一つ一つの音も、もっと自由自在だった。《…略…》ゆったりうねったかと思うと、いつの間にか小刻みなスキップに移り変わり、息と区別がつかない細い一音が長く引き伸ばされたかと思うと、再び軽やかな響きが戻ってきた。陽気な音階もあれば、しっとりとしたのもあった。限界まで達する高音もあれば、重低音もあった。一人の人間の唇から発せられているとは思えないくらいに、多彩な口笛だった。
小川 洋子 / 口笛の上手な白雪姫「口笛の上手な白雪姫」に収録 ページ位置:29% 作品を確認(amazon)
この表現が分類されたカテゴリ
口笛を吹く
しおりに登録する
前後の文章を含んだ引用
......を吹いているのかもしれないと推察するに過ぎなかった。小母さんの口笛を聴けるのは、ついこの前生まれたばかりの、まだはかない鼓膜しか持っていない赤ん坊だけだった。 音色はか細く、震えがちでありながら、同時に粘り強くもあった。何かのメロディーを奏でているわけではなく、リズムも一つ一つの音も、もっと自由自在だった。有名な曲をいくつかつなぎ合わせているのかもしれなかったが、大人たちの耳には届かないのだし、赤ん坊にとっては曲名などどうでもいい問題だった。ゆったりうねったかと思うと、いつの間にか小刻みなスキップに移り変わり、息と区別がつかない細い一音が長く引き伸ばされたかと思うと、再び軽やかな響きが戻ってきた。陽気な音階もあれば、しっとりとしたのもあった。限界まで達する高音もあれば、重低音もあった。一人の人間の唇から発せられているとは思えないくらいに、多彩な口笛だった。 一人の母親が赤ん坊を抱いて小母さんに近づいてくる。もちろん二人は裸で、全身濡れている。ガラスの引き戸のこちら側から、何度そうした母子の姿を目にしても、その都度......
単語の意味
陽気(ようき)
うねる(うねる)
陽気・・・1.天候。時候。
2.万物が動き、生まれ出ようとする気。陽の気。
うねる・・・大きく緩やかに曲がりくねる。大きく緩やかに上がったり下がったりする。また、そのような状態が続くことや、そのような状態がとどめ難い勢いで攻めてくること。
ここに意味を表示
口笛を吹くの表現・描写・類語(動作・仕草・クセのカテゴリ)の一覧 ランダム5
すぼめた唇に息を吹き込みながら
小川 洋子 / 口笛の上手な白雪姫「口笛の上手な白雪姫」に収録 amazon
気軽そうに口笛を吹いて
林芙美子 / 新版 放浪記
このカテゴリを全部見る
「動作・仕草・クセ」カテゴリからランダム5
缶ビールのタブを引いて
沼田 まほかる「彼女がその名を知らない鳥たち (幻冬舎文庫)」に収録 amazon
(抽象画)小さい子がかくような絵
松本 清張 / 美の虚像「松本清張ジャンル別作品集(3) 美術ミステリ (双葉文庫)」に収録 amazon
カテゴリ検索 単語の意味
同じカテゴリの表現一覧
動作・仕草・クセ の表現の一覧 
人物表現 大カテゴリ
表現の大区分