TOP > 人物表現 > 思考・頭の中の状態 > 我に返る・意識が戻る
サン・ジェルマン氏の声が次第に稀薄になり、それに替ってどこか遠くから、 「相沢さま、相沢さま」 しきりにベル・キャプテンが客を呼び出す声が聞こえて来る。さっきからずっと私を呼んでいるらしい。 脳を薄く輪切りにするようになにかが通り過ぎ、急に眼の前が明るくなった。 と同時に、今までガラス戸の向こうを見るようだった周囲の風景がざわめきをともなって動き始めた。
阿刀田 高 / サン・ジェルマン伯爵考「ナポレオン狂 (講談社文庫)」に収録 ページ位置:93% 作品を確認(amazon)
この表現が分類されたカテゴリ
我に返る・意識が戻る
しおりに登録する
前後の文章を含んだ引用
......今日を待ったほうがよろしかったからです。サン・ジェルマン伯爵を侮ってはいけません。私は宇宙の法則を知っております。その法則に従って理論を述べているのです……」 サン・ジェルマン氏の声が次第に稀薄になり、それに替ってどこか遠くから、「相沢さま、相沢さま」 しきりにベル・キャプテンが客を呼び出す声が聞こえて来る。さっきからずっと私を呼んでいるらしい。 脳を薄く輪切りにするようになにかが通り過ぎ、急に眼の前が明るくなった。 と同時に、今までガラス戸の向こうを見るようだった周囲の風景がざわめきをともなって動き始めた。 私は立ちあがり、ボーイの前に歩み寄った。「相沢ですが……」「お電話がかかっております」 ボーイのあとに続いて私は電話ボックスへ入った。「もしもし相沢です」「や......
単語の意味
風景(ふうけい)
風景・・・自然の景色。目の前に広がる眺め。その場の情景。
ここに意味を表示
我に返る・意識が戻るの表現・描写・類語(思考・頭の中の状態のカテゴリ)の一覧 ランダム5
夏目漱石 / 吾輩は猫である
ふと葉子は幻想 から破れて
有島武郎 / 或る女
店のざわめきが、ボリュームつまみを回すみたいにして再び戻ってくる。
新海 誠「小説 君の名は。 (角川文庫)」に収録 amazon
はい、と返事をして、真由が立ち上がる。椅子の足が床に擦れる音で、愛子は我に返った。
朝井 リョウ「武道館 (文春文庫)」に収録 amazon
息苦しさに 堪らなくなり、大きく息を吐くと、パーキング・エリアの幻は消えて、三島署の執務室に引き戻されていた。
翔田 寛「真犯人 (小学館文庫)」に収録 amazon
このカテゴリを全部見る
「思考・頭の中の状態」カテゴリからランダム5
彼は危うくその発作的な気持に 惹き込まれかけたが、ガタンと音のするような感じで我に還ると、 驚いてその不思議な気持から飛び退いた。
志賀 直哉 / 雨蛙「城の崎にて・小僧の神様 (角川文庫)」に収録 amazon
(横になり青空を見てバイオリンを聴いていたら)目を閉じて聴いていたら、その青空の映像に重なってよく知っているある女性のまつげのことも思いだした。
吉本 ばなな / らせん「とかげ (新潮文庫)」に収録 amazon
同じカテゴリの表現一覧
思考・頭の中の状態 の表現の一覧
人物表現 大カテゴリ