老人の表現・描写・類語(中年・老人のカテゴリ)の一覧 ランダム5
薄くまばらになった髪、しみだらけの皮膚、落ちくぼんだ眼窩--そこには容赦なく通り過ぎていった時間の侵食が、川に削りとられた谷間の荒涼たる崖の肌のように痛ましい痕を刻みつけている
日野 啓三 / 抱擁 amazon
博士は六十四歳の、数論専門の元大学教師だった。見た目は実際の年齢よりもやつれていた。単に老けているだけではなく、身体の隅々にまできちんと養分が行き渡っていない印象を与えた。ひどい猫背のために一六〇センチほどしかない身長はますます小さく見え、骨張った首筋には皺の間に垢がたまり、ぱさついて好き勝手な方向に跳ねる白髪が、せっかくの福耳を半分覆い隠していた。声は弱々しく、仕草はスローモーで、何をするにもこちらの予想の二倍の時間が掛かった。
小川洋子「博士の愛した数式 (新潮文庫)」に収録 amazon
腰の曲がったおばあさん
小川 洋子「妊娠カレンダー (文春文庫)」に収録 amazon
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長い人生の労苦に唯々うちひしがれて、今にも吹き散りそうな弱々しい顔
円地文子 / 円地文子集(老桜) amazon
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