十和子のためにひとりの男が殺人まで犯したと思うことが一種甘美であるからか。
沼田 まほかる「彼女がその名を知らない鳥たち (幻冬舎文庫)」に収録 ページ位置:71% 作品を確認(amazon)
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殺す・殺害する
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前後の文章を含んだ引用
......しても三年という月日が必要だったのかもしれない。辻褄が合う! 絶対にそうだと、短絡的に納得してしまいそうになる。それ以外にはもうどんな動機も考え出せないからか、十和子のためにひとりの男が殺人まで犯したと思うことが一種甘美であるからか。考えることに倦んだ頭が、どうしてもひとつの結論を欲しがっている。 黒崎にどんなことをされたか、陣治に話したことがあっただろうか? 夜中にうなされて揺り起こされた......
単語の意味
甘美(かんび)
甘美・・・1.甘みがあって味がおいしいこと。
2.うっとりと気持よくなること。
2.うっとりと気持よくなること。
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(大切な人が消えてしまって)そこでぼくが感じたのはたとえようもなく深い 寂寥 だった。気がつくといつの間にか、ぼくを取り囲んだ世界からいくつかの色が永遠に失われてしまっていた。そのがらんとした感情の廃墟の、うらぶれた山頂から、自分の人生をはるか先まで見渡すことができた。それは子供の頃に空想科学小説の挿し絵で見た、無人の惑星の荒涼とした風景に似ていた。そこにはいかなる生命の気配もなかった。一日はおそろしく長く、大気の温度は暑すぎるか寒すぎるかどちらかだった。ぼくをそこまで運んできたはずの乗り物は、いつの間にか姿を消してしまっていた。もうほかのどこにも行けない。そこでなんとか、自分の力で生きのびていくしかないのだ。
村上春樹「スプートニクの恋人 (講談社文庫)」に収録 amazon
放浪を続けて犬のように死ぬ
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