TOP > 感情表現 > 悲しみ

TOP > 暮らしの表現 > 生と死 > 喪失感(大切なものを失う)


カテゴリ検索 単語の意味
(大切な人が消えてしまって)そこでぼくが感じたのはたとえようもなく深い 寂寥 だった。気がつくといつの間にか、ぼくを取り囲んだ世界からいくつかの色が永遠に失われてしまっていた。そのがらんとした感情の廃墟の、うらぶれた山頂から、自分の人生をはるか先まで見渡すことができた。それは子供の頃に空想科学小説の挿し絵で見た、無人の惑星の荒涼とした風景に似ていた。そこにはいかなる生命の気配もなかった。一日はおそろしく長く、大気の温度は暑すぎるか寒すぎるかどちらかだった。ぼくをそこまで運んできたはずの乗り物は、いつの間にか姿を消してしまっていた。もうほかのどこにも行けない。そこでなんとか、自分の力で生きのびていくしかないのだ。
村上春樹「スプートニクの恋人 (講談社文庫)」に収録 ページ位置:82% 作品を確認(amazon)
この表現が分類されたカテゴリ
喪失感(大切なものを失う)
しおりに登録する
前後の文章を含んだ引用
......平らな岩の上に横になり、夕暮れのそよ風に吹かれながら、照明を当てられて青い夕闇の中にほんのりと浮かびあがる白い神殿を眺めていた。美しく幻想的な風景だった。 でもそこでぼくが感じたのはたとえようもなく深い寂寥だった。気がつくといつの間にか、ぼくを取り囲んだ世界からいくつかの色が永遠に失われてしまっていた。そのがらんとした感情の廃墟の、うらぶれた山頂から、自分の人生をはるか先まで見渡すことができた。それは子供の頃に空想科学小説の挿し絵で見た、無人の惑星の荒涼とした風景に似ていた。そこにはいかなる生命の気配もなかった。一日はおそろしく長く、大気の温度は暑すぎるか寒すぎるかどちらかだった。ぼくをそこまで運んできたはずの乗り物は、いつの間にか姿を消してしまっていた。もうほかのどこにも行けない。そこでなんとか、自分の力で生きのびていくしかないのだ。 すみれがぼくにとってどれほど大事な、かけがえのない存在であったかということが、あらためて理解できた。すみれは彼女にしかできないやりかたで、ぼくをこの世界につな......
単語の意味
荒涼・荒寥(こうりょう)
寂寥(せきりょう)
風景(ふうけい)
姿・形・容・態・躰・體・軆・骵(すがた)
永遠(えいえん・とわ)
荒涼・荒寥・・・1.風景などが荒れ果てて、もの寂しいこと。または、そのさま。
2.精神がすさんでいること。または、そのさま。
「涼」は「冷え冷えとして寂しい」さまをあらわす字。
寂寥・・・人気がなくて、寂しい感じ。心が満たされず寂しい感じ。寂寞。
風景・・・自然の景色。目の前に広がる眺め。その場の情景。
姿・形・容・態・躰・體・軆・骵・・・1.身体の形。からだつき。人のからだの格好。衣服をつけた外見のようす。
2.身なり。容姿。
3.目に見える、人の形。人の存在。
4.物の、それ自体の形。物一つ一つの全体的な印象。
5.物事のありさまや状態。事の内容を示す様相。
以下の文字は訓読みで、「すがた」と読める。
[形・容・態・躰・軆・體・骵]
永遠・・・ある状態が果てしなく続くこと。物事が変化しないこと。無窮(むきゅう)。永久(えいきゅう)。
ここに意味を表示
喪失感(大切なものを失う)の表現・描写・類語(悲しみのカテゴリ)の一覧 ランダム5
このカテゴリを全部見る
「悲しみ」カテゴリからランダム5
涙をくくみながら
林芙美子 / 新版 放浪記
「生と死」カテゴリからランダム5
カテゴリ検索 単語の意味
同じカテゴリの表現一覧
悲しみ の表現の一覧 
悲しみのレベル
少し悲しい
とても悲しい
多くの感情は極限に達すると泣くにつながる
悲しみの感覚、精神的な反応
悲しみの表情、リアクション
その他の悲しみの表現
次の文字を含む「悲しみ」の表現を検索
悲しさが  悲しみを  悲しくて  悲しさ  悲しい    哀感    寂しさが  寂しさ  
生と死 の表現の一覧 
感情表現 大カテゴリ
表現の大区分