十二月に入ると何日か強い風の吹く夜が続いた。ケヤキの落ち葉がベランダの目隠しのプラスチック板に打ちつけられ、辛辣な乾いた音を立てた。冷たい風が警告を発しながら裸の枝のあいだを吹き抜けていった。カラスたちの掛け合う声も、より厳しく研ぎ澄まされたものになっていった。冬が到来したのだ。
村上 春樹 / 1Q84 BOOK 3 作品を確認(amazon)
この表現が分類されたカテゴリ
冬
しおりに登録する
前後の文章を含んだ引用
no data
単語の意味
厳めしい・厳しい(いかめしい)
鴉・烏(からす)
厳めしい・厳しい・・・雰囲気が立派すぎて、威圧感さえ感じる。甘えや妥協など許されない感じで、近寄りにくい。
鴉・烏・・・カラス科カラス属およびそれに近縁の鳥の総称。人家近くの森に住む、雑食性の利口な鳥。雌雄ともに全身、光沢のある黒。日本では主に嘴太烏(ハシブトガラス)と嘴細烏(ハシボソガラス)の2種。古来より人との関わりが深く、熊野の神の使いとして知られ、また、その姿や鳴き声は不吉の象徴とされるなど、信仰や迷信が多い。
ここに意味を表示
冬の表現・描写・類語(冬のカテゴリ)の一覧 ランダム5
野外は、真冬の匂いがした。 冷たい空気に混じって、これからやってくる本当の寒さの予感が、体の中に伝わってくる。
吉本 ばなな「アムリタ〈上〉 (新潮文庫)」に収録 amazon
何もかも寒さのために身動きできず、風さえも空で凍りついてしまっているような一日
小川 洋子 / 余白の愛 amazon
空も地面も区別のないは灰白の中に地吹雪の舞う冬
奥泉光 / 三目の鯰「石の来歴」に収録 amazon
このカテゴリを全部見る
「冬」カテゴリからランダム5
音を立てずに肌を透す隠忍な質の冬
夏目漱石 / 門 amazon
初冬の冷く粒立った空気が、爽かな陽光を含んで冴え返っていた
五木寛之 / 夜の斧 amazon
蛙は体を凍てつかせて地中に眠り、兎は白い衣に着替える
高橋三千綱 / 涙 amazon
正月が雪を率いて注連飾りの都を白くする
夏目漱石 / 門 amazon
同じカテゴリの表現一覧
冬 の表現の一覧
風景表現 大カテゴリ