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病院に着いたときにはもう、和弥さんは遠いところに行っていました。傷付き、冷たくなったからだにしがみつき、名前を呼び続けても、返事はなく、手を握り返してくれることもなく、ただ、抜け殻がそこにあるだけでした。
湊 かなえ「花の鎖 (文春文庫)」に収録 ページ位置:82% 作品を確認(amazon)
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前後の文章を含んだ引用
......幾度こいでも、行きたい場所には辿り着けず、同じところでもがき続けているだけのように思えます。 私はただ、和弥さんに会いたいだけなのに。 森山清志くんに連れられて病院に着いたときにはもう、和弥さんは遠いところに行っていました。傷付き、冷たくなったからだにしがみつき、名前を呼び続けても、返事はなく、手を握り返してくれることもなく、ただ、抜け殻がそこにあるだけでした。それでも、一緒にいたかったのに、警察に呼ばれ、陽介さんが証言したという和弥さんの最期を聞かされることになりました。 美術館の建設予定地である雨降り渓谷を訪れたの......
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