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(死別)死別はいつまでもその人に向けた愛が、瞬くおき火のようになって残される。それは燃えあがることなく、静かに火照るような切ない熱を発し続け、やがて少しずつ、生き残った側の心の中の、うら寂しい闇になじんでいく。闇とおき火とが溶け合い、まざり合い、死と生とがいつしかひっそりと一つにまとまっていく。
小池真理子「愛するということ (幻冬舎文庫)」に収録 ページ位置:90% 作品を確認(amazon)
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失恋・恋人と別れる
出会いと別れ
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前後の文章を含んだ引用
......た人に、突然、死なれることは、突然、別れねばならなくなったことよりも、はるかに幸せなことなのではないか、と。 同じ喪失でも、その悲しみの深さは比べようがないが、死別はいつまでもその人に向けた愛が、瞬くおき火のようになって残される。それは燃えあがることなく、静かに火照るような切ない熱を発し続け、やがて少しずつ、生き残った側の心の中の、うら寂しい闇になじんでいく。闇とおき火とが溶け合い、まざり合い、死と生とがいつしかひっそりと一つにまとまっていく。 だが、生きて別れた人に向けた感情は烈しくうつろう。忘れたと思っていても、時に烈しく燃えあがる。その焰には、憎しみや悲しみや切なさ、絶望感、怒りがいつまでも含ま......
単語の意味
切ない(せつない)
うら寂しい(うらさびしい・うらさみしい)
瞬く(またたく)
切ない・・・悲しさや寂しさや恋しさで、胸がしめつけられる気持ちのこと。やりきれない思い。やるせない思い。
うら寂しい・・・なんとなく寂しい。寂しげ。心寂しい。
瞬く・・・1.見えたり見えなくなったり光がチラチラする。明滅する。
2.まぶたを一瞬のうちに閉じたり開いたりする。まばたく。
2.まぶたを一瞬のうちに閉じたり開いたりする。まばたく。
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失恋・恋人と別れるの表現・描写・類語(恋愛のカテゴリ)の一覧 ランダム5
恋愛に破れた時は、生きる自信がなくなってしまったような気持ちでした。
林芙美子 / 新版 放浪記
(恋人と付き合い始めたが期待外れにときめかない)邦彦との関係に対して、浮き立つものを感じられなくなっていた。 期待に胸を膨らませて観に行った映画が、タイトルが映し出された時こそ感動が押し寄せてきたものの、上映時間が進むにつれ、「あれ?」と退屈を覚えずにいられなくなり、「いや、これから面白くなるはずだ」「だって、いい監督だもの」と自分に言い聞かせ、挽回を期待し、けれどそれでも気に入らない点ばかりが増していくような感覚だ。
伊坂 幸太郎 / アイネクライネナハトムジーク amazon
亜美ちゃんが大学生になり、彼が社会人になり、環境が変わったのが、別れる契機になった
綿矢 りさ / 亜美ちゃんは美人「かわいそうだね? (文春文庫)」に収録 amazon
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出会いと別れの表現・描写・類語(人間関係・地位のカテゴリ)の一覧 ランダム5
女房や子供から生木裂くみたいに引き離されて兵隊に駆り出されていった
宮本 輝 / 泥の河「螢川・泥の河(新潮文庫)」に収録 amazon
心斎橋筋の人波の中で、弘美は振り返って何度も手を振り頭を下げた。姿が見えなくなると、邦彦は不思議な寂しさを感じた。もう二度と逢うことのない人が、いままさに去って行ってしまったという 寂寥 感 であった。
宮本 輝「道頓堀川(新潮文庫)」に収録 amazon
男と私は精養軒の白い食卓につくと、日本料理でささやかな別宴を張った。
林芙美子 / 新版 放浪記
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「恋愛」カテゴリからランダム5
口腔と口腔をつないでつくる小空間の内部で、ふたつの舌が 猛り狂ったように動く。舌が肉片であること、硬くなったり柔らかくなったり尖ったり捻じれたり震えたりする熱く濡れた肉片であることを、異様なほど意識する。水島が何か言うが、食べ物を頬張りながらしゃべっているようで聞き取れない。
沼田 まほかる「彼女がその名を知らない鳥たち (幻冬舎文庫)」に収録 amazon
それからまた二人はしゃべらなくなる。あらゆる種類の体液で互いを汚し合いながら、離脱のための激しいダンスを踊る。さっきよりもっと強い刺激を必要としている水島の、あらゆる望みをかなえようと夢中になる。十和子なしでは生きられないと、水島に骨の髄までそう感じさせるためには、どんなことをすればいいのか? 二つの肺から吐き出される湿った息で、部屋全体が白く霞んでいく。
沼田 まほかる「彼女がその名を知らない鳥たち (幻冬舎文庫)」に収録 amazon
これは一夜の情事などではない、もっと別の何かなのだ、という思いがわたしの中には強くあったのだが、野呂もまた、そうした気配を伝えてくれた。言葉にはしなかったが、明らかに彼が、わたしとの間に起こった出来事を、連続する一つの時間の流れの中で捉えようとしているのがわかった。
小池真理子「愛するということ (幻冬舎文庫)」に収録 amazon
わたしの顎を持ち上げると、わたしの唇にキスをした。なめらかな熱いキスだった。
小池真理子「愛するということ (幻冬舎文庫)」に収録 amazon
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