もう一度電話のベルが鳴るのを待ちつづける。壁にもたれ、目の前の空間の一点に焦点をあわせ、ゆっくりと音のない呼吸をつづける。時間と時間のつなぎめを確認しつづける。ベルはなかなか鳴りださない。約束のない沈黙がいつまでも空間を満たしている。
村上春樹「スプートニクの恋人 (講談社文庫)」に収録 ページ位置:98% 作品を確認(amazon)
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電話が鳴るのを待つ
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......要なメッセージであるみたいに。その色やかたちになにか特別な意味が込められているみたいに。それから思いなおして、受話器をもとに戻す。ぼくはベッドの上に身を起こし、もう一度電話のベルが鳴るのを待ちつづける。壁にもたれ、目の前の空間の一点に焦点をあわせ、ゆっくりと音のない呼吸をつづける。時間と時間のつなぎめを確認しつづける。ベルはなかなか鳴りださない。約束のない沈黙がいつまでも空間を満たしている。しかしぼくは急がない。もうとくに急ぐ必要はないのだ。ぼくには準備ができている。ぼくはどこにでも行くことができる。 そうだね? そのとおり。 ぼくはベッドを出る。......
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電話が鳴るのを待つの表現・描写・類語(電話のカテゴリ)の一覧 ランダム5
もう一度電話のベルが鳴るのを待ちつづける。壁にもたれ、目の前の空間の一点に焦点をあわせ、ゆっくりと音のない呼吸をつづける。時間と時間のつなぎめを確認しつづける。ベルはなかなか鳴りださない。約束のない沈黙がいつまでも空間を満たしている。
村上春樹「スプートニクの恋人 (講談社文庫)」に収録 amazon
電話機は今にも鳴り出しそうに見える。
村上春樹「スプートニクの恋人 (講談社文庫)」に収録 amazon
今にもベルが鳴り出すかもしれない……。 しかし黒い器具は無愛想に沈黙して声を出そうとしない。
阿刀田 高 / 狂暴なライオン「ナポレオン狂 (講談社文庫)」に収録 amazon
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ガスの火を全部とめてすぐに受話器をとった。すみれの消息についてのミュウからの電話じゃないかと思ったからだ。ベルの響きかたにはどこかしら切迫したところがあった。
村上春樹「スプートニクの恋人 (講談社文庫)」に収録 amazon
自分の手のなかに彼の携帯電話がある光景を目にするのは、これが初めてだった。黒く四角いフォルム、使い込まれた雰囲気は、手にはなじまず、私が本物の主人ではないと訴えかけている。
綿矢 りさ / かわいそうだね?「かわいそうだね? (文春文庫)」に収録 amazon
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