林に囲まれたこぢんまりしたお寺で、せみの声が何重にも渦を巻いていた。
小川洋子 / 完璧な病室「完璧な病室 (中公文庫)」に収録 ページ位置:8% 作品を確認(amazon)
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蝉(せみ)
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前後の文章を含んだ引用
......ことができた。それぞれみんな病気なのだ、とわたしは思った。 弟に最後に会ったのは、去年の夏、母親の一周忌の時だった。それはとてもささやかな一周忌だった。武蔵野の林に囲まれたこぢんまりしたお寺で、せみの声が何重にも渦を巻いていた。弟とわたしとわたしの夫の三人は、その渦の目の中にぽつんと正座して、長い時間お経を聞いていた。その後、わたしたちはまるでせみの声に鼓膜を吸い取られたかのように、無......
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蝉(せみ)の表現・描写・類語(昆虫・虫のカテゴリ)の一覧 ランダム5
つくつく法師が鳴いた。「文法の語尾の変化をやっているようだな」ふとそんなに思ってみて、聞いていると不思議に興が乗って来た。
梶井基次郎 / 城のある町にて
蝉が俗界の執念を奏でるように鳴きさかる
辻井 喬 / 暗夜遍歴 amazon
裏の松林で鳴く油蝉が、濁った余韻のない響を、乾燥した空中にベルトのように吐き出していた。
石坂 洋次郎 / 若い人 amazon
一匹の 油 蟬 がさきほどから、眠りを誘うような声で鳴いている
遠藤周作「沈黙(新潮文庫)」に収録 amazon
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(蜜蜂の巣が)飾り玉のようにまん丸に蜜蜂が群れて止まっていた。
火野 葦平 / 麦と兵隊「土と兵隊・麦と兵隊 (新潮文庫)」に収録 amazon
(ひしめく蠅が)漣が渡るように、揺れて動く。
大岡 昇平「野火(新潮文庫)」に収録 amazon
こおろぎが寒げに鳴いている
伊藤左千夫 / 野菊の墓
一匹の 油 蟬 がさきほどから、眠りを誘うような声で鳴いている
遠藤周作「沈黙(新潮文庫)」に収録 amazon
僕はマラルメの(詩集の)背表紙で、黒と白の縦模様がある蛾の腹を押し潰した。蛾は脹らんだ腹から体液が漏れる音とは別の小さな鳴き声をだした。
村上 龍 / 限りなく透明に近いブルー amazon
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