(ひしめく蠅が)漣が渡るように、揺れて動く。
大岡 昇平「野火(新潮文庫)」に収録 ページ位置:72% 作品を確認(amazon)
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蚊・ハエ
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......っている。踝から二寸ばかり上で切れている。切口の中央には、骨が白く、雌蕊のように光っている。 皮膚が巻き込んだ肉は、真黒である。いや、その盛り上った黒い曲面は、漣が渡るように、揺れて動く。ひしめく蠅の黒である。 人間の足らしい。しかし何故ここに、この河原に、私の目の前に、これがあるのだろう。切ったのは私ではない。これは「彼」の足ではない。彼は腐り......
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ひしめく蠅が、漣(さざなみ)が渡るように揺れて動く
大岡 昇平 / 野火 amazon
一匹の蠅が自分の顔の周りを鈍い羽音で廻っている。
遠藤周作「沈黙(新潮文庫)」に収録 amazon
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熱した油で水滴がはじけたような暑苦しい蝉の合唱
阿久 悠 / 瀬戸内少年野球団〈上〉 amazon
(日に照らされて)白く輝いた蜘蛛の糸が弓形に膨らんで幾条も幾条も流れてゆく。(その糸の上には、なんという小さな天女! 蜘蛛が乗っているのである。彼らはそうして自分らの身体を溪のこちら岸からあちら岸へ運ぶものらしい。)
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