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彼は今は一人船尾の手すりにもたれながら、推進機にかき廻され、押しやられる水をぼんやり眺めていた。
直哉, 志賀「暗夜行路 (新潮文庫)」に収録 ページ位置:22% 作品を確認(amazon)
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......をたてながら海底に根を張っているかのようにどっしりと海面に置かれてあった。その側を通る頃はもう、岸壁に添うて建ち並んだ、大きな赤煉瓦の建物さえ見えなくなった。 彼は今は一人船尾の手すりにもたれながら、推進機にかき廻され、押しやられる水をぼんやり眺めていた。それが冴えて非常に美しい色に見えた。そして彼は先刻自分達の通って来た、レールの縦横に敷かれた石畳の広場を帰って行くお栄と宮本の姿を漠然と想い浮べていた。 下で鐘......
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