かわいげのある大人のへや、という感じ。濃い色のじゅうたん。本棚にぎっしり詰まった洋書。それから予想外に、海っぽいタッチがあった。どことなく、そうだった。古い揺りいす、皮張りのソファ、台所の床に放置された鉄のストーブ、飾り戸棚にずらっと並んだ酒瓶。何となく、船室の趣があった。
吉本 ばなな「N・P (角川文庫)」に収録 ページ位置:45% 作品を確認(amazon)
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船室・船内
室内の雰囲気
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前後の文章を含んだ引用
......がら、咲がドアを開けた。「迷わずに来れた?」「少し迷った。」 私は言った。「今、乙彦留守。」 咲は言った。私はうなずいて中に入った。予想はだいたい当たっていた。かわいげのある大人のへや、という感じ。濃い色のじゅうたん。本棚にぎっしり詰まった洋書。それから予想外に、海っぽいタッチがあった。どことなく、そうだった。古い揺りいす、皮張りのソファ、台所の床に放置された鉄のストーブ、飾り戸棚にずらっと並んだ酒瓶。何となく、船室の趣があった。「海、好きなの?」 私はたずねた。「乙彦が。あの子は海関係の大学にいこうとしてた。」 咲が言った。「どうしてやめたの?」 私は彼の部屋をのぞきながら言った。確か......
単語の意味
趣(おもむき)
何処とも無く(どこともなく)
鉄(てつ・くろがね)
趣・・・しっとりと落ち着いて、心惹かれる特徴や雰囲気。そのものがもっている、自然とかもし出される(いい)雰囲気。ずいぶん昔のものなのに、手入れがされているさま。風情(ふぜい)。
何処とも無く・・・はっきりとした場所は言えないが、なんとなく。どことなく。
鉄・・・1.金属元素のひとつ。元素記号Fe、原子番号26。銀色の金属。湿った空気中では錆(さび)を生じやすい。錆(さ)びると褐色になる。安価で加工しやすく最も利用価値の高い金属。
2.堅くて強いことのたとえ。「鉄の意志」
2.堅くて強いことのたとえ。「鉄の意志」
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天井の低い三等船室の暗がりで、父は水の光に透かしては、私の頭の虱 を取ってくれた。
林芙美子 / 新版 放浪記
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百田尚樹「永遠の0」に収録 amazon
フットブレーキを踏むたびに小型のニワトリを絞め殺しているような悲痛な音がする
村上春樹 / 遠い太鼓 amazon
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