私の眼は一時に視力を弱めたかのように、私は大きな不幸を感じた。

不幸のかたまりを、鋼の球のように胸に抱いてやってきた遠縁の少年。

降って湧いたような（突然の）災難

「『報われない人』選手権に団体戦があったら、私たちはかなりの強豪だろうな」

きらきらと向うは陽が射している。こちらは深い蔭になって、長い縁台に眼鏡をかけた男が口を開けて昼寝をしている。

その時はただこわかったが実は、こわいと言うよりも不思議なことだった。

単純そうに見えて単純じゃない。根っこと同じだよ。上に出ている部分はちょっとでも、ひっぱっているとずるずる出てくる。

眩 ゆい外の光景を 眺めると、だんじりも船の群れも、遠い夢の中の 煌めきのように思われる。

コンピューター占いに毛の生えた程度のたわいもないこと

情報が積み木だとすれば、情報から推測する仮説は、積み木の城だ。つい先ほどまで、成瀬の頭の中には城ができあがっていた。林の死体を発見した時にも、その城が崩れることはなかった。自分の推測は誤っていないと確信したほどだ。それが電話のリダイヤルボタンを押して、響野が出た瞬間に崩れた。予期していない積み木が上から降ってきたようだった。 　響野が電話に出る理由が見あたらない。