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(秘密(浮気)を知ったが怒りを抑えて明るく振る舞う陣治と秘密を知られたかもしれないと恐怖する十和子。スキヤキのシーン)肉も、野菜も、陣治も、十和子とは縁もゆかりもない場所で 炙られ、煮立ち、うごめいている。それなのに、それらのものの圧力に異様な息苦しさを感じる。《…略…》陣治も、ひとしきりはしゃいだ後は口数が少なくなる。煮えたものを自分も食べ、十和子の器の溶き卵のなかにも次々と入れる。高価な肉でスキヤキをしているという現状を、十和子との間で確認し合おうとするかのように、ああ、うまい、うまいわ、と取ってつけたようにときどき言ってはビールを流し込む。
沼田 まほかる「彼女がその名を知らない鳥たち (幻冬舎文庫)」に収録 ページ位置:46% 作品を確認(amazon)
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怖い・恐怖
嘘をつく・ごまかす・隠し通す
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前後の文章を含んだ引用
......て水気飛ばす。白菜、焼きどうふはその後や。俺にまかしとき」烈しい口調になりすぎた自分をなだめるように声を落とす。 何か言い返してやろうと思うが言葉が浮かばない。肉も、野菜も、陣治も、十和子とは縁もゆかりもない場所で炙られ、煮立ち、うごめいている。それなのに、それらのものの圧力に異様な息苦しさを感じる。「いやいや、まいった。あんじょう目ぇやられてもたわ」 縁の爛れた目を、いったん極限まで見開いてからしきりと瞬く。「はじめて溶接っちゅうもんしたで。昨日も今日も、......<中略>......に目を擦るその動作に、ひどく陣治らしい何かが滲み出ている。「十和子、どないしたんや、身体しんどいんか」「うん、ちょっと」「いっこもしゃべれへんやんか」 そういう陣治も、ひとしきりはしゃいだ後は口数が少なくなる。煮えたものを自分も食べ、十和子の器の溶き卵のなかにも次々と入れる。高価な肉でスキヤキをしているという現状を、十和子との間で確認し合おうとするかのように、ああ、うまい、うまいわ、と取ってつけたようにときどき言ってはビールを流し込む。 ぐつぐつとものの煮える音だけが耳につく。陣治が耐えかねたように、どないしたんや、とまたたずねる。「なんや、もう、ごっつぉさんか。せっかくの肉、ほとんど食べてへ......
単語の意味
異様(いよう)
息苦しい(いきぐるしい)
異様・・・様子が普通とは変わっているさま。他とあまりに違っていて、変に思われるさま。
息苦しい・・・1.息をするのが苦しい。呼吸が苦しい。胸に圧迫感があって息が詰まるような感じである。
2.胸を圧迫されるような、重苦しい感じの雰囲気だ。緊張した空気が漂っていて、軽々しい言動などできそうもない雰囲気だ。
2.胸を圧迫されるような、重苦しい感じの雰囲気だ。緊張した空気が漂っていて、軽々しい言動などできそうもない雰囲気だ。
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それは怖いことだ。一生かけてもめったに触れ得ないことだ。そこの見えない深い 淵 や、サングラスをかけずに太陽を直視することに似ている。
吉本 ばなな「アムリタ(下) (新潮文庫)」に収録 amazon
不意を打たれた彼の心の中から恐怖の収縮が走って行った
野間宏 / 崩解感覚「暗い絵・顔の中の赤い月 (講談社文芸文庫)」に収録 amazon
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隠すという行為の持つ避けがたい後ろめたさ
高樹 のぶ子 / その細き道 (文春文庫 amazon
夢野久作 / ドグラ・マグラ
持ち前のおべっか精神を発揮して
太宰治 / 人間失格
兄が妹を誘うような有無を言わさぬ呼び出し方
高樹 のぶ子 / その細き道 (文春文庫 amazon
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