百日紅 の樹にまた つくつく法師がとまって鳴きはじめた。その声も風のなぐころにはとまった
遠藤周作「沈黙(新潮文庫)」に収録 ページ位置:62% 作品を確認(amazon)
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蝉(せみ)
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前後の文章を含んだ引用
......、提燈や、バイバイバイ、石投げたもんな、手の腐る提燈や、バイバイバイ、石投げたもんな、手の腐る 子供たちの途切れ途切れの唄はどこか哀調をおびていた。 夕暮、あの百日紅の樹にまたつくつく法師がとまって鳴きはじめた。その声も風のなぐころにはとまったが、三人の信徒たちは、まだ戻ってこない。油燈の下で晩飯をすます頃、また子供たちの歌声が、かすかに聞える。夜半、月はあかるく窓から流れ、その光で眼がさめた。祭はも......
単語の意味
つくつく法師・寒蝉・蛁蟟(つくつくぼうし)
つくつく法師・寒蝉・蛁蟟・・・セミ科の一種。夏の半ば過ぎから鳴く小形の蝉。体長3cmほど。「オーシーツクツク」と鳴くのが名前の由来。筑紫恋し。法師蝉。「蛁蟟」は「みんみんぜみ」とも読める。
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蝉(せみ)の表現・描写・類語(昆虫・虫のカテゴリ)の一覧 ランダム5
遠い林の中でニイニイ蝉が痺れるような声で鳴いている。
古井 由吉 / 谷「川端康成文学賞全作品〈2〉」に収録 amazon
あの鳴き声(蝉)は、いやですねえ。何だか人間の声のようじゃないですか。
梅崎 春生 / 桜島 amazon
林の中で 喘ぐように 初 蟬 の声が聞え
遠藤周作「沈黙(新潮文庫)」に収録 amazon
百日紅 の樹にまた つくつく法師がとまって鳴きはじめた。その声も風のなぐころにはとまった
遠藤周作「沈黙(新潮文庫)」に収録 amazon
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(日に照らされて)白く輝いた蜘蛛の糸が弓形に膨らんで幾条も幾条も流れてゆく。(その糸の上には、なんという小さな天女! 蜘蛛が乗っているのである。彼らはそうして自分らの身体を溪のこちら岸からあちら岸へ運ぶものらしい。)
梶井基次郎 / 冬の蠅
黄色と黒の模様が、不穏な威圧感を感じさせる。虎といい、スズメバチといい、黄色と黒の組み合わせには恐怖を煽る仕掛けがあるな
伊坂 幸太郎 / グラスホッパー 角川文庫 amazon
それは無防備に増殖した、奇形の果実のようだった。表面には細かいささくれが広がり、ゆるやかな曲線模様が織り込まれていた。あまりにも大きくなりすぎ、自分でも形をまとめることができなくなって、あちこちがひび割れていた。 そのひびの間から、はちみつがこぼれていた。血液のように濃く、静かに、ひたひたと流れていた。
小川 洋子 / ドミトリイ「妊娠カレンダー (文春文庫)」に収録 amazon
柱に蛾が止まっている。最初染みかと思ったが、じっと見ていると、かすかに位置をずらした。灰色の羽に薄すらと産毛が生えている。
村上 龍 / 限りなく透明に近いブルー amazon
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