女の声は不穏な唸り声から、雌の鳴声に変わった。それにつれて、男の息遣いが伝わってきた。
浅田次郎 / 悪魔「鉄道員(ぽっぽや) (集英社文庫)」に収録 ページ位置:40% 作品を確認(amazon)
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愛撫(前戯)
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前後の文章を含んだ引用
......僕の体を、従姉が抱き寄せた。「シッ。静かにして」 闇に目をこらす従姉の掌はびっしょりと汗ばんでいた。わけのわからぬまま、僕は僕自身の鼓動を耳の奥で聴いていた。 女の声は不穏な唸り声から、雌の鳴声に変わった。それにつれて、男の息遣いが伝わってきた。 やおら従姉が、僕の掌をセーラー服の胸元に引き寄せた。指先にふくよかな、生温かい肌が触れた。従姉の様子は尋常ではなかった。 とっさに僕は、蔭山が闇に紛れて誰かに......
単語の意味
息遣い・息使い(いきづかい)
息遣い・息使い・・・息の使い方。息を吸ったり吐いたりするようす。呼吸の調子。
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林 真理子 / ◦最終便に間に合えば林 真理子「最終便に間に合えば」に収録 amazon
二人は口をきくこともなく、暗闇の中で時間をかけてお互いの身体を調べ合う。十本の指と手のひらを使って、何がどこにあって、どんなかたちをしているかをひとつずつ確かめる。秘密の部屋で宝探しをしている小さな子供たちのように、胸をときめかせながら。そしてひとつの存在を確かめると、そこに唇をつけて認証の封印を与える。
村上 春樹 / 1Q84 BOOK 3 amazon
闇夜の中でいじられると情けないことには体は心の言うことを聴かなくなり
遠藤 周作「海と毒薬 (角川文庫)」に収録 amazon
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ソファクッションに無理やりふたりで座っていると、自然に、尾崎はあたしに触れてくる。シャワーを浴びる前のリハーサルのようなこの時間が、あたしは好きだ。
朝井 リョウ / ひーちゃんは線香花火「もういちど生まれる (幻冬舎文庫)」に収録 amazon
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