よく聞こえなかった。さっきの大音量のせいで耳の奥に栓が詰まっているみたいだ。《…略…》言っていることがよくわからない。ゆるせなかった、という言葉がぷかぷか浮いている感じがした。
宮下 奈都「羊と鋼の森 (文春文庫)」に収録 ページ位置:45% 作品を確認(amazon)
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爆音・大きな音
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......になりっぱなしで」 僕が恐縮すると、濱野さんはかたちのいい唇をきゅっと結んだ。「ああ見えて、ヤナギは繊細なのよ」「そうですか」「公衆電話がだめだったんだから」 よく聞こえなかった。さっきの大音量のせいで耳の奥に栓が詰まっているみたいだ。僕が間の抜けた顔をしていたからか、濱野さんは説明してくれた。「あのね、公衆電話って目立つようにわざと不自然な色になってるでしょう。あの黄緑色がだめだったの。ゆるせなかったんだって」 よく聞き取れない。言っていることがよくわからない。ゆるせなかった、という言葉がぷかぷか浮いている感じがした。「ええと、黄緑色をゆるせなかったというのは、どういう意味でしょう」 濱野さんは煙草をくしゅっと消した。爪がつやつやしていた。「町を歩いてて公衆電話が目に入ると、......
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耳に余る大きな音を立てて
有島武郎 / 生まれいずる悩み
ドラム缶を金属バットでジャスト・ミートしたような大きな音
村上 春樹 / ダンス・ダンス・ダンス(上) amazon
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がさがさ笹にさわる音がして
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バンドの音楽が休憩になって、人々の話すざわめきが波音に混じって流れ始めた。
吉本 ばなな「アムリタ(上) (新潮文庫)」に収録 amazon
声は、私の鼓膜をつんつんと突いてきた。
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暗い穴の底から響いてくるような声
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