「カアカア」 と、高く鳴いて羽根を二度強く羽ばたいた。鳥の体はスーッと宙に浮き、羽ばたきとともに高く舞いあがった。蒼い空の中に漆黒の 斑 ができ、点になり、やがて吸い込まれるようにして蒼の中へ消えていった。
阿刀田 高 / 蒼空「ナポレオン狂 (講談社文庫)」に収録 ページ位置:74% 作品を確認(amazon)
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烏(カラス)
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前後の文章を含んだ引用
......を見たと思ったが、それもすぐに消えてしまった。 身を起こして丘の端を見るとカラスが一ぴきおりて来て、なにやら地面をついばんでいる。カラスは羽根をいっぱいに広げ、「カアカア」 と、高く鳴いて羽根を二度強く羽ばたいた。鳥の体はスーッと宙に浮き、羽ばたきとともに高く舞いあがった。蒼い空の中に漆黒の斑ができ、点になり、やがて吸い込まれるようにして蒼の中へ消えていった。 カラスの動きを見ていた並作は、ふと自分も空に舞いあがれるような気がしてきた。 あたりにだれも人のいないのを見計ると並作はおもむろに立ち上がり、たったいまカラス......
単語の意味
体(からだ)
漆黒(しっこく)
斑(まだら・むら・ぶち)
体・・・頭・胴・手足など、肉体全体をまとめていう言葉。頭からつま先までの肉体の全部。身体。体躯。五体。健康。体力。
漆黒・・・漆を塗ったように光沢のある黒色。濃くて深い黒色。
斑・・・1.下地の色とは違う色が、不規則に混じっている模様。いろいろな色や濃淡の入りまじっている模様。また。そのさま。
2.1が転じて、ある現象が現れたり、現れなかったりすることのたとえ。はっきりした部分とそうでない部分があるのたとえ。
2.1が転じて、ある現象が現れたり、現れなかったりすることのたとえ。はっきりした部分とそうでない部分があるのたとえ。
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烏(カラス)の表現・描写・類語(鳥類のカテゴリ)の一覧 ランダム5
泣きばあさんみたいにやかましいカラスがたくさんいます。夜が明けると連中はムレをなしてどこかから代々木公園にやってきて、世界が終わりかけているみたいな勢いでぎゃあぎゃあとわめきたてる
村上春樹「スプートニクの恋人 (講談社文庫)」に収録 amazon
人を恐れない鴉 の群れ
芥川龍之介 / 偸盗
欄干にとまった鴉たちは前衛劇に出てくる傍観者のように見えた。
村上 春樹「羊をめぐる冒険」に収録 amazon
樹には大きな烏たちが羽ばたきながら 嗄れた声で鳴き、その声と蛙の声とが一緒になって、暗い合唱をくりひろげていた。
遠藤周作「沈黙(新潮文庫)」に収録 amazon
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「鳥類」カテゴリからランダム5
むくどりの一群が芝生の上を気紛れな流砂のように右から左へと移動していた。
村上 春樹「羊をめぐる冒険」に収録 amazon
干潟のほの白い砂の上に、黒豆を零したようなのは、烏の群が下りているのであろうか。
鈴木 三重吉 / 千鳥 amazon
鳩一流のどこにあてがあるともない飛び方で舞っていた。
梶井基次郎 / 城のある町にて
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