高速に乗って、海へ向かった。一定に繰り返される道路の震動と、スピードを示すチャイム、過ぎ去っていくビル街と透けてゆく空の青。

むこうからトラックが埃を濛々とあげてこちらに向ってくる。

タクシーが急な上り坂に差しかかり、車体がガクンと揺れた。

（運転がうまい）Ａ級ライセンスの腕前

高速道路の音がずっと切れ目なく続いている

過ぎ去るバイクの乾いた轟音

（山のような大波）見る見るもり上った山の、恐ろしく大きな斜面に玩具（おもちゃ）の船程に、ちょこんと横にのッかることがあった。と、船はのめったように、ドッ、ドッと、その谷底へ落ちこんでゆく。今にも、沈む！　が、谷底にはすぐ別な波がむくむくと起（た）ち上ってきて、ドシンと船の横腹と体当りをする。

ブレーキの音を響かせて急停止

ひしめきあった車の列

車のフロント・ガラスの内側に赤い血糊がハイビスカスの花のように散っていた。