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上衣を脱いで白いメリヤス編みのシャツ一枚になった上半身は肩が内側にすぼまり、円くだらりとしていた。両手は長く太もものところまでのび、掌を後に見せていた。そして白いズボンの裾から妙に白っぽい足の裏が、ひらひら動いているかのようにつき出ていた。が、その足のすぐ下には、頁数の厚い本がつみ重ねられ、数冊の本がくずれて頁を展げちらばっていた。荒井大学生は厚い法律書をえらんでつみ重ね、この上にのって紐をむすび、この長い足の裏でその書物のふみ台をけりくずしたのにちがいなかった。
野間宏 / 崩解感覚「暗い絵・顔の中の赤い月 (講談社文芸文庫)」に収録 ページ位置:8% 作品を確認(amazon)
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首を吊る・首吊り(自殺)
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前後の文章を含んだ引用
......ひどい凍傷をおこすことだろうな。》とそんな意味もないつまらないことを考えさせたり、「あわび貝の片思いの耳」というようなへんてこな言葉が湧いてくる耳であった。……上衣を脱いで白いメリヤス編みのシャツ一枚になった上半身は肩が内側にすぼまり、円くだらりとしていた。両手は長く太もものところまでのび、掌を後に見せていた。そして白いズボンの裾から妙に白っぽい足の裏が、ひらひら動いているかのようにつき出ていた。が、その足のすぐ下には、頁数の厚い本がつみ重ねられ、数冊の本がくずれて頁を展げちらばっていた。荒井大学生は厚い法律書をえらんでつみ重ね、この上にのって紐をむすび、この長い足の裏でその書物のふみ台をけりくずしたのにちがいなかった。 及川隆一は入口のところに立ったまま、この自分の方に背中を向けて天井からたれさがっている死体にじっと向い合っていた。と彼の頭のなか一杯に拡がっていた深い静寂の中......
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妙(みょう)
上半身(じょうはんしん・かみはんしん)
手の平・掌(てのひら)
太股・太腿・太もも(ふともも)
足・脚・肢(あし)
・・・とてもいい。非常に優れている。または、不思議、奇妙なこと(さま)。
上半身・・・体の、腰から上の部分。上体(じょうたい)。⇔下半身(かはんしん・しもはんしん)。
手の平・掌・・・手首から先の、物を握ったときに内側になる面。掌(たなごころ)。
太股・太腿・太もも・・・足の、膝(ひざ)より上の太い部分。股の内側の膨らんだところ。足の付け根から膝までの部分。大腿(だいたい)。上腿(じょうたい)。
足・脚・肢・・・1.動物の胴体の下から左右に分かれて伸びている部分で、歩いたり体を支えるのに用いる部位。とくに、足首から下の部分をさすこともある。
2.台を支える棒状の部分。物の本体を支える、突き出た部分。また、地面に接する部分や、物の下や末端部分。「テーブルの足」
3.歩くこと。走ること。また、その能力。「足が速い選手」
4.行くこと。また、来ること。また、そうするための手段や乗り物。「客の足がとだえる」「足の便がいい」
5. 餅(もち)などの粘り。こし。
6.損失。欠損。借金。また、旅費。
7.その他、足の形や動きから連想されできた表現として、
・食べ物の腐りぐあいや、商品の売れ行き。「足がはやい」
・(脚)漢字を構成する部分で、上下の組み合わせからなる漢字の下側の部分。「照」の「灬(れっか)」、「志」の「心(したごころ)」など。
・雨や雲、風などの動くようす。「細い雨の足」
・(足)過去の相場の動きぐあい。
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君の心は妙にしんと底冷えがしたようにとげとげしく澄み切って、君の目に映る外界の姿は突然全く表情を失ってしまって、固い、冷たい、無慈悲な物の積み重なりに過ぎなかった。無際限なただ一つの荒廃――その中に君だけが呼吸を続けている、それがたまらぬほどさびしく恐ろしい事に思いなされる荒廃が君の上下四方に広がっている。波の音も星のまたたきも、夢の中の出来事のように、君の知覚の遠い遠い末梢まっしょうに、感ぜられるともなく感ぜられるばかりだった。すべての現象がてんでんばらばらに互いの連絡なく散らばってしまった。その中で君の心だけが張りつめて死のほうへとじりじり深まって行こうとした。重錘おもりをかけて深い井戸に投げ込まれた灯明のように、深みに行くほど、君の心は光を増しながら、感じを強めながら、最後には死というその冷たい水の表面に消えてしまおうとしているのだ。  君の頭がしびれて行くのか、世界がしびれて行くのか、ほんとうにわからなかった。恐ろしい境界に臨んでいるのだと幾度も自分をいましめながら、君は平気な気持ちでとてつもないのんきな事を考えたりしていた。そして君は夜のふけて行くのも、寒さの募るのも忘れてしまって、そろそろと山鼻のほうへ歩いて行った。
有島武郎 / 生まれいずる悩み
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