家族の居ない家は、他人の家みたいだ。 上下併せて五間ほどの小ぢんまりした住まいが、急によそよそしく思える。
向田邦子 / 耳「思い出トランプ（新潮文庫）」に収録 ページ位置：18% 作品を確認（amazon）
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留守
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前後の文章を含んだ引用
......名を呼びかけて、気がついた。 今日一日勤めを休む、留守番をしてやると言ったので、女房は出掛けている。 楠は、寝巻の上に女房の茶羽織を羽織り、水を飲みに立った。 家族の居ない家は、他人の家みたいだ。 上下併せて五間ほどの小ぢんまりした住まいが、急によそよそしく思える。 台所へ立った楠は、冷蔵庫をあけている自分に気がついた。水道の栓をひねる前に、別に何を食べようというつもりもないのに、冷蔵庫をあけて中を改めている。 俺は何をし......
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