(難聴者)真二郎は、あだ名を「ビクター」と呼ばれていた。 レコード会社の商標になっている、小首をかしげた白黒ブチの犬である。 片耳が難聴だったから、人のはなしや音楽を聞くとき、聞えるほうの耳を音の方向に向ける。自然にあの犬と同じ格好になった。
向田邦子 / 耳「思い出トランプ(新潮文庫)」に収録 ページ位置:65% 作品を確認(amazon)
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よく聞こえない・不明瞭な音
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前後の文章を含んだ引用
......抜いて、なかのものをぶちまけた。 体の奥から熱いどろどろしたものが噴き上げてきた。 体を動かしていないと、「おうおうおう」と、獣みたいなうめき声が洩れてくる。 真二郎は、あだ名を「ビクター」と呼ばれていた。 レコード会社の商標になっている、小首をかしげた白黒ブチの犬である。 片耳が難聴だったから、人のはなしや音楽を聞くとき、聞えるほうの耳を音の方向に向ける。自然にあの犬と同じ格好になった。 何年生のときだったか、新しいノートをおろしたとき、弟は「ビクター楠」と名前を書いた。 家中で大笑いをしたが、一緒に笑っていた母親が、同じように笑っていた楠を突......
単語の意味
片耳・傍耳(かたみみ)
小首(こくび)
犬・狗(いぬ)
片耳・傍耳・・・1.片方の耳。 傍ら(=わき)の耳。
2.傍らにあって聞くこと。片方の耳で聞くこと。転じて、聞くともなく聞くこと。小耳にはさむこと。
2.傍らにあって聞くこと。片方の耳で聞くこと。転じて、聞くともなく聞くこと。小耳にはさむこと。
小首・・・首(くび)のこと。「小」は接頭語で「ちょっと」をあらわし、体の名称に付いて軽い動作をあらわす。「小首をかしげる」
犬・狗・・・1.イヌ科の哺乳動物。大昔から人間に飼育されてきた家畜。従順で賢く、家やヒツジの番をしたり、犯人捜査や目や耳の不自由な人の導いたりもできる。
2.(あちこちとかぎ回るところから)他人の秘密などをかぎ回って報告する者。スパイ。まわしもの。間者(かんじゃ)。
2.(あちこちとかぎ回るところから)他人の秘密などをかぎ回って報告する者。スパイ。まわしもの。間者(かんじゃ)。
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よく聞こえない・不明瞭な音の表現・描写・類語(声・口調のカテゴリ)の一覧 ランダム5
彼が看護婦と何事か話している声が聞こえた。
翔田 寛「真犯人 (小学館文庫)」に収録 amazon
私の名を呼ぶ彼女の声がした。少しくぐもった不思議な響きだった。ちょうど天国の雲の上から、下界にいる私に呼びかけたような感じだった。
吉本 ばなな / らせん「とかげ (新潮文庫)」に収録 amazon
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調子の狂った楽器のような、ひどく嗄(か)れた声が止めどもなく迸り出る
山本 周五郎 / 髪かざり amazon
しばらく無言の間が続く。
伊坂 幸太郎「陽気なギャングが地球を回す (祥伝社文庫)」に収録 amazon
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