京都も、もう五月である。東山の新緑が花よりも美しく、赤味の差した 楠 の若葉がもくりもくり 八坂 の塔や清水の塔の後ろに浮き上って眺められる
直哉, 志賀「暗夜行路 (新潮文庫)」に収録 ページ位置:62% 作品を確認(amazon)
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春
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前後の文章を含んだ引用
......の桜、その次に御室の八重桜が咲いた。そして、やがて都踊、島原の道中、壬生狂言の興行、そう云う年中行事も一ト通り済み、祇園に繫ぎ団子の赤い提灯が見られなくなると、京都も、もう五月である。東山の新緑が花よりも美しく、赤味の差した楠の若葉がもくりもくり八坂の塔や清水の塔の後ろに浮き上って眺められる頃になると、さすがに京都の町々も遊び疲れた後の落ちつきを見せて来る。 実際謙作達も、もう遊び疲れていた。そして、謙作はその頃になって直子が妊娠した事を知った。 ......
単語の意味
新緑(しんりょく)
若葉(わかば)
新緑・・・晩春や初夏のころの、木々の若葉のみずみずしい緑。
若葉・・・芽を出したばかりの葉。とくに、初夏の木々のみずみずしい葉。新葉(しんば)。
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春の空気は漠然と重く、そして皮膚をむずむずとさせた
村上 春樹 / ダンス・ダンス・ダンス(下) amazon
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小川のせせらぎの音が思いなしか明るさを増したよう
永井路子 / 朱なる十字架 amazon
川に沿って植えられた樹々の若い葉の匂いがした。その緑色があたりの空気の中にしっくりとにじみこんでいるようだった。
村上 春樹「羊をめぐる冒険」に収録 amazon
木の芽 の色、玲瓏 な空、もえる陽炎 、まことに春らしい山村の春。
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